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カルバン・クラインは “らしさ” を取り戻せるか? 生誕地ニューヨークにデザインなどの機能移管

カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)が、本来の“らしさ”を取り戻すための組織改革に本格着手した。同ブランドを傘下に持つPHVが拠点を置くオランダ・アムステルダムから、56年前にブランドが生まれたアメリカ・ニューヨークに軸足を移す。2023年11 月時点で、ニューヨークのグローバルプロダクトチームの機能を拡大すると公式に発表していた。

現在、アムステルダムのPHVでは社員のリストラが進んでいる。業界筋によれば、デザインや生産、その他のクリエイティブ分野で雇用削減を行い、24年5月から8月にかけて100人以上が職を追われる見込みという。PHVの広報担当はリストラを認めているが、その人数については明言できないと話す。

今回の事業再編は、ブランドの強みを改めて追求し、一貫したブランドイメージを消費者に植え付けることを狙いにしている。例えば、1月4日(現地時間)に公開した男性用アンダーウエアの広告は、ニューヨーク生まれの俳優であるジェレミー・アレン・ホワイトを起用し、同エリアで撮影したもの。エヴァ・セラーノ(Eva Serrano)=カルバン・クライングローバルプレジデントによる指揮の下、ブランドビジネス刷新のために新業務の創出や業務内容の変更も行うという。セラーノ=グローバルプレジデントは、ステファン・ラーソン(Stefan Larsson)PHV最高経営責任者(CEO)直属として23年3月に同ブランドに加わった。

PHVは現在、「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」と「カルバン・クライン」を傘下に持つ。同社は米アパレルメーカーのG-IIIアパレル・グループ(G-III Apparel Group)と長年にわたって2ブランドのライセンス契約を結んでいたが、この関係性は改める予定で、27年までにアメリカとカナダでは両ブランドのウィメンズアパレルを内製化する意向だ。また今後、アムステルダムは主に「トミーヒルフィガー」のグローバル本部となり、ヨーロッパや中東、アフリカ地域のハブ的役割を担うことになる。同エリア一帯はPHVにとって最も重要な成長市場だという。

PHVは23年11月、アンダーウエアブランドの「ワーナーズ(WARNER'S)」や「オルガ(OLGA)」「トゥルー&コー(TRUE & CO.)」を、アパレルの開発やOEM(相手先ブランドの生産)を行うベーシック・リソーシズ(BASIC RESOURCES)売却し、傘下ブランドを「トミー ヒルフィガー」と「カルバン・クライン」のみにスリム化していた。ラーソンCEOは、2ブランドを魅力あるライフスタイルブランドに育成することを目指す中長期的事業戦略“PHV+プラン(PHV+ Plan)”を掲げ、ヒーロープロダクトの開発や顧客とのエンゲージメント向上、効率性などに注力する。

なお、日本ではオンワード樫山が、PHVと「カルバン・クライン」のライセンス契約を20年間以上結んでいたが、20年に関係を解消した。現在は、PHVの子会社であるカルバン・クライン社が21年に立ち上げた日本のアパレル部門が、店頭とオンラインの販売を行っている。

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