フランス・パリ発フレグランス「アート ミーツ アート(ART MEETS ART以下、A.M.A)」の創業者であるタンギー・ル・ボーが昨年末に来日した。「A.M.A」はマドンナ(MADONNA)の名曲「ライク ア ヴァージン」やマーヴィン・ゲイ(Marvin Gaye)の「セクシャル ヒーリング」といった名曲を香りで表現するブランド。日本では、ノーズショップ(NOSE SHOP)で販売している。来日したル・ボーに話を聞いた。
WWD:今回の来日の目的は?
タンギー・ル・ボー「A.M.A」創業者(以下、ル・ボー):日本のパートナーであるノーズショップの麻布台ヒルズの店舗の視察やミーティングが目的。麻布台ヒルズがどのような商業施設か注目していたので来日できてうれしい。
WWD:ブランドを始めたきっかけは?
ル・ボー:長年ビューティ業界で働いてきたし、私にとってフレグランスは幼少の頃からとても身近なものだった。また、子どもの頃からピアノやギターなど音楽に親しんできて、今でもアマチュアミュージシャンとして演奏することもある。その2つの背景を組み合わせて、音楽から得られる特別な高揚感=“モジョ(魔法や魔術などの虜になるというスラング)”を香りで表現できないかと思った。「A.M.A」を立ち上げたのは自然な流れだった。
WWD:ブランドのコンセプトは?
ル・ボー:音楽の“モジョ”を香りで伝えること。フレグランスはある意味似ていると思う。その2つを組み合わせることで、ライフスタイルをより豊かに彩ることができると思う。私は生粋のパリっ子。パリには素晴らしいライフスタイルがある。それを香りで伝えたいという思いもある。同時に、世界中を旅してきて、各地特有の音楽や香り、言語といったものに触れてきた。それらが生み出す感情体験を香りに置き換えている。
「A.M.A」で自分の中の“モジョ”を解放してほしい
WWD:名曲をテーマにしたフレグランスだが、選曲はどのように行うか?
ル・ボー:それぞれの名曲に込められた感情を香りに置き換えられるか想像してみる。いくら有名な曲でも、香りが想像できなければ香水にはならない。
WWD:調香師とのマッチングはどのように行うか?
ル・ボー:調香を依頼するのは、世界最高峰の調香師ばかり。曲のムードに合う調香師にクリエイションを委ねる。コンセプトは説明するが、同じ曲でも、調香師の感性によって全く異なる香りになる。それがまた、面白い。
WWD:名曲をどのように香りに落とし込むか?音楽のコードと香調など対比させるようなフォーミュラはあるか?
ル・ボー:音楽にはコード、香りにはフローラル、ウッディ、シトラスといったような香調があるが、このコードはこの香調といったフォーミュラはない。香りによる音の表現は、調香師の感性次第で変化する。
WWD:ターゲットは?
ル・ボー:音楽とフレグランスに関心があり、ライフスタイルを謳歌している人々。「A.M.A」により、自分の中にある“モジョ”を解放してほしい。
WWD:日本戦略は?
ル・ボー:ノーズショップという素晴らしいパートナーに恵まれた。彼らと大切にブランドを育てていきたい。どこでも購入できるブランドにするつもりはない。