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特集 CEO2024 ビューティ編

【エーグローバル 金松月代表】日本製の高品質とサービスを武器にグローバル化を加速

PROFILE: 金松月/エーグローバル代表

金松月/エーグローバル代表
PROFILE: (きん・しょうげつ)中国・吉林省出身。中国で高校を卒業後、日本に留学。2007年に再来日し、通訳や経理・営業事務に従事。15年にアーティスティックアンドシーオーに入社し、経理部長を務める。その後海外事業を任され、17年に海外向け事業会社アーティスティックアンドシーオーグローバルを設立。取締役として2年で年商150億円を達成し、21年3月に代表取締役就任。23年9月、エーグローバルの代表取締役となる PHOTO :TAMEKI OSHIRO

岐阜県羽島市を拠点に、独自技術を搭載した美容機器の製造・販売を手掛けるエーグローバル。2023年9月にアーティスティックアンドシーオーグローバルからエーグローバルに社名を変更し、全世界へ向けてのさらなる販売拡大に向けてまい進する。10万円以上の高級美顔器を主力に、27年までに売上高200億円を目指す。(この記事は「WWDJAPAN」2024年1月29日号からの抜粋です)

基盤を固め次のステップに踏み出す

WWDJAPAN(以下、WWD):あらためて社名変更の経緯は?

金松月代表(以下、金):エーグローバル(A. GLOBAL)のAはスタートを意味する。初心に戻り、あらためてグローバル企業としての展開を目指そうと社名変更した。もともとアーティスティックアンドシーオーという会社の中で、グローバル化を目指す事業会社としてアーティスティックアンドシーオーグローバルを設立した。今まで築いてきたものもあるので、もったいないという気持ちもあったが、すでに2年前に同グループから独立して資本関係も解消。23年8月には生産工場の買収も終え、新たな体制の下、7期目からリスタートすることにした。エンドユーザーは商品で判断するため、社名が変わっても問題はなく、皆さまに応援していただいている。

WWD:変化の多かった23年をどう振り返る?

金:メインの市場が中国であることに変わりはない一方で、23年は処理水を発端とする国際問題に影響を受けていることを痛感した。だからこそ新しいことに取り組む姿勢は今まで以上に必要だと感じた。

WWD:国際問題は美顔器の販売にも影響している?

金:新商品の発表会で現地の俳優やインフルエンサーを起用しにくかったり、情報を拡散しにくかったりした。中国では、国産品の流通を強化する流れがあるなど、今はいろんな要素が重なっている。ただ消費者は一時的に波に流されることはあっても、冷静になれば本当に良いものに戻る。高価格帯であっても選ばれる価値があることが重要だ。また、23年8月には中国で子会社を設立し、サービスの強化にも取り組んでいる。

WWD:中国で強化するサービスとは?

金:品質の高さだけでなく、サービスの面でもきめ細かな日本らしさを打ち出していく。当社の主力は10万円以上の高額美容機器であり、その価値をしっかり伝えるためにもアフターサービスを重視する。何かトラブルがあった時の対応だけでなく、自分たちからお客さまにアプローチするサービスを展開したい。中国ではこれまで100万台以上を販売しているが、主な販路が代理店経由のため、取得している購入者データはまだ7万人ほど。今後はそれらのデータを集積・分析し、下取りサービスなどもできるようにしたい。

WWD:10月には初めて中期経営計画を作成した。

金:17年の創業時はインバウンドが盛んな頃で、いろいろとタイミングも良く急成長してきた。今後は、基盤を固めながら、次のステップに踏み出す時と考え、中期経営計画作成に至った。

WWD:今後、注力する商品やサービスは?

金:まずは、サブスクリプションを充実させる。これまでもやってはいたが、一部の機種に限られていた。今年はいろんな機種から選べる本当の意味のサブスクを展開する。必要とする美容機器は季節でも変わるし、今の時代、所有するだけがいいとは限らない。SDGsの観点からも求められている。次にテレビショッピング。今年は社内にスタジオ設備を構え、そこから通販番組を生放送できる体制を整える。スタート時は地元のテレビ局とBSで放映する予定で、3月8日の国際女性デーに間に合わせたい。世の中の変化は激しい。時代の変化に対応するためにも、露出するツールやチャネルは多く持っていた方がいい。

WWD:貴社は「化粧品は食品、美容機器はサプリ」と表現するが、サプリである美容機器を毎日使ってもらうための施策は?

金:サブスクを充実させると同時に、IoTのバージョンアップを目指して開発を続けている。IoTの活用でよりお客さまの需要に合った提案ができ、満足度も上がる。忙しい現代人は1カ月先のエステの予約を決めるのは難しい。優れた美容機器は、いつもそばにエステティシャンがいるようなものだ。

WWD:EコマースやSNS関連での新しい動きは?

金:ライブコマースにさらに力を入れる。これまで、インスタライブが中心だったが、17LIVEでもモノが売れ始めるなど状況は少しずつ変わっており、若い世代向けの商品を中心に取り組みを行っていく。もちろん、TikTokも強化する。また、弊社は高価格帯商品が主力となるため、日本でも中国でも、百貨店を中心にリアル店舗を増やしていく。オンラインでしか問い合わせができないのではなく、何かあったら行ける場所があるのはとても重要。それが一番の信用になる。

WWD:23年は中期経営計画の初年度となる。その道筋は?

金:現在は売り上げの約8割を中国が占めるが、積極的に海外へ展開しながら全体の売り上げを伸ばしつつ、日本の売り上げを4割程度にまで引き上げたい。商品面では、ニキビケアなど若い世代向けのスキンケアシリーズを増やし、インナービューティ商品も年内に発売する計画で開発を進めている。美容というカテゴリーの中、美容機器を軸に、美容機器を使う人たちの生活の質を向上させるラインアップを増やしていく。それを実現するには、人にフォーカスすることが大切だ。私自身、自分で限界を決めずにやってきて今に至っている。社内メンバー全員がチャレンジし、可能性を見出してほしい。

会社概要

エーグローバル
A. GLOBAL

業務用美容機器製造・販売メーカーであるアーティスティックアンドシーオーの海外向け事業会社として、2017年にアーティスティックアンドシーオーグローバルを設立。日本国内だけでなく、中国や韓国でも日本発美容機器ブランドとして高い支持を得る。23年9月、社名をエーグローバルに変更すると共に、同グループからも独立。これまで通り美容機器の製造と販売を主軸に、全世界に向けて販売を拡大。新しいことに挑戦していく企業としてリスタートした

問い合わせ先
エーグローバル
058-325-9788

TEXT:YOSHIE KAWAHARA