コーセーは3月2日に迎えた創業70周年を機に、「世界で通用するブランドの育成」施策の一環として、スキンケアブランド「雪肌精」のさらなるグローバル化を見据えたマーケティング戦略を展開する。まずは、「雪肌精」の単独カウンター「雪肌精グローバルカウンター」を設置し、国内外の百貨店に導入する。グローバルカウンター第1号は大阪・あべのハルカス近鉄本店で、4月13日に1階の化粧品売り場に開設する。日本国内では、年内に10店舗の導入を目指す。
1985年に誕生した「雪肌精」は、5割のリピート率の高さが大きな強みとなっている。日本ではドラッグストアなどセルフ型ショップで販売しているが、海外では百貨店で販売し、丁寧なカウンセリングを行っている。佐々木秀世コンシューマーブランド事業部C/B企画部部長は、こうした日本と外国で「雪肌精」のブランド価値が異なっている状況に対して、「メーカー側は世界共通のブランド価値をお客さまに提供しなければいけない」と話す。さらに「リブランディングを考えたときに、日本で初めてのコーナー展開をするべきだ」と世界統一のブランド価値作りを行う取り組みの一つとして百貨店化粧品フロアでの新カウンターの設置に至った。
新カウンターは「和モダン」をテーマに、世界的建築家の隈研吾にデザインを依頼。隈建築家の特徴である木材をふんだんに使い、桐と和紙を想起させる素材(高密度ポリエチレン不織布)を組み合わせて「雪肌精」の世界観を発信する。内照式の台では、ブランドの特徴である「内側からの透明感」を表現。隈建築家は「化粧品カウンターのデザインは初めて手掛け、その繊細さに手間がかかった。『雪肌精』の特徴である和漢植物エキスを配合した、自然素材を生かしたコンセプトが自分の哲学ともマッチし、依頼を引き受けた」と話す。「雪肌精グローバルカウンター」について、篠原和行コンシューマーブランド事業部C/B企画部 企画二課課長は「カウンターはブランド価値を世界で統一するだけではなく、価値の底上げも狙いにある。日本のみならず、中国・台湾などアジアを中心に導入を進め、世界中に展開する予定」と話す。カウンターでは店頭施術用美容機器「アイエムキューブ(I MCUBE)」を使用した店頭活動も行う。「アイエムキューブ」のイオンスチーマーで肌コンディションを整え、「雪肌精」の良さを最大限に感じてもらう。また、香りも重視し、「『雪肌精』とマッチングした香りの装置を開発している。アロマを利用した訴求を行うことで心身共にリラックスしていただく」と篠原課長。また、キャビンも併設し、施術も行う予定だ。
新製品としては3月2日に、1品で乳液・美容液・クリーム・マッサージ・マスクの5つの機能があるジェル「ハーバル ジェル」を発売した。複数の機能を持ち、さらなる透明感を実感できるジェルを提案することで、新客の獲得と顧客の拡大を図る狙いがある。また、パッケージには日英2カ国語表記を導入し、世界共通仕様で展開することで今後進めるブランド価値の統一の一翼を担う。
現在、「雪肌精」の売り上げは海外も含め約300 億円(出荷ベース)だが、魅力的なブランドの成長とお客さまの獲得の2点にこだわり、2020年までに500億円を目指す。小林一俊・社長は、「ずっと『雪肌精』のカウンターを作りたいという思いがあった。カウンターができることで、より大きな売り上げが期待できる。いまは『雪肌精』の売り上げは国内2:海外1だが、いずれは半々にしたい」と意気込む。