現地時間2月11日、NFL最大の祭典・第58回スーパーボウルが米・ネバダ州のアレジアント・スタジアムで開催された。この日、カンザスシティ・チーフス(以下、チーフス)がサンフランシスコ・フォーティーナイナーズ(以下、49ers)を下し、2年連続、4度目の優勝を果たした。MVPに選ばれたのはチーフスのクォーターバック、パトリック・マホームズ(Patrick Mahomes)。彼が受け取ったトロフィーから、ハーフタイムショーでアッシャー(Usher)が着用した衣装、恋人の活躍のため日本からプライベートジェットで駆けつけたテイラー・スウィフト(Taylor Swift)のルックまで、注目のファッショントピックをお届けする。
優勝チームに贈られるのは「ティファニー」製のビンス・ロンバルディ・トロフィー
1967年以来、毎年NFLのスーパーボウル優勝者に贈られるのは「ティファニー(TIFFANY & CO.)」製のヴィンス・ロンバルディ・トロフィー。高さ約56cm、重さ約4kgのトロフィーの頂上には、レギュラーサイズのフットボールが置かれている。このトロフィーデザインは1966年、当時のNFL理事であるピート・ロゼール(Pete Rozelle)との会談中に、「ティファニー」の元副社長、オスカー・リーデナー(Oscar Riedener)がナプキンにスケッチしたものがベースとなっている。米・ロードアイランド州にある「ティファニー」のホローウェア工房では毎年、このヴィンス・ロンバルディ・トロフィーをはじめ、65個を超えるトロフィーが“ティファニーメーカー”と呼ばれる熟練の職人たちによって手作業で制作されている。
ハーフタイムショーのアッシャーは「オフ-ホワイト」&“エア ジョーダン 4”を着用
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スーパーボウルでは毎年、豪華アーティストによるハーフタイムショーのパフォーマンスも見どころの一つ。今年メインアーティストで出演したアッシャーは、ホワイトのロングコートにクロップド丈のブレザーをまとい登場した。グローブやビッグブローチ、アンダーシャツ、スニーカーもホワイトとクリスタルで統一したワントーンコーデだ。
その後、セカンドルックとして映画「トロン(Tron)」にインスパイアされた「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」によるデザインのボディスーツにチェンジ。ブルーとブラックの「オフ-ホワイト」の特注スーツで、39万4千個のクリスタルで飾られていた。レザーのバイカージャケットとパンツ、ニットのタートルネックとルレックスのアンダーシャツで構成された未来的なアンサンブルだ。足元には衣装に合わせたカラーリングの特注“エア ジョーダン 4”を合わせた。
アッシャーのパフォーマンスに合わせ、15人のバックダンサー達はスケートシューズを着用しダイナミックにステージを舞った。このスケートシューズは、「ライデル(RIDELL)」と、ロサンゼルスのローラーディスコ“フリッパーズ・ローラー・ブギー・パレス”の共同設立者で、クリエイティブ・ディレクターのリバティ・ロス(Liberty Ross)と組み制作したもの。
ハーフタイムショーではアッシャーに続きアリシア・キーズ(Alicia Keys)、リュダクリス(Ludacris)、ハー(H.E.R.)、リル・ジョン(Lil Jon)、ジャーメイン・デュプリ(Jermaine Dupri)、そしてウィル・アイ・アム(will.i.am)と言った豪華な面々が登場した。
テイラー・スウィフトは恋人の背番号“87”刺しゅう入りのブーツで会場へ
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2月7日から10日の4日間、自身のツアー“THE ERAS TOUR”で日本公演を行なっていたテイラー・スウィフトも、恋人であるチーフスのトラヴィス・ケルシー(Travis Kelce)をサポートするため会場へ。
着用したのは「ディオン リー(DION LEE)」のコルセット、「エリア(AREA)」のジーンズ、トラヴィスの背番号“87”が刺しゅうされたブーツ。さらにチーフスのロゴとチーム創設年の“60”が背中に入った「ウエア バイ エリン・アンドリュース(WEAR BY ERIN ANDREWS)」のボンバージャケットでコーディネートを仕上げた。
アリアナ・グランデが着たのは「ルイ・ヴィトン」の特注ジャージ
アリアナ・グランデ(Ariana Grande)と女優のシンシア・エリヴォ(Cynthia Erivo)は、2人が出演する、今年アメリカで公開予定の映画「ウィキッドPart1」からインスピレーションを受けた「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のジャージを着用。それぞれのジャージにはピンクとグリーンのスパンコールがつき、映画の登場人物の名前が刺しゅうされている。
敗北した49ersのアパレルコレクションの行方は?
スーパーボウルでは、優勝したチームを祝福するためのアパレルコレクションが用意される。今年優勝したチーフスも例に漏れず、フィールドでお披露目された。ヴィンス・ロンバルディ・トロフィーを受け取る間、Tシャツ、帽子、パーカーがチームのメンバーによって着用されたのだ。
ここで気になるのは、残念ながら試合に敗れたチームグッズの行方だ。NFLでは負けたチームのために用意されたグッズが一般の人々の目に触れることはない。しかしそれらのグッズは、慈善団体Good360によって世界の人々に寄付されるのだ。
Good360は毎年NFLと協力し、これらの商品をヨーロッパ、アフリカ、アジアなどの人々に寄付するための活動をしている。Good360のシャリ・ルドルフ(Shari Rudolph)=チーフ・ディベロップメント・オフィサー兼チーフ・マーケティング・オフィサーは「国際NGOと緊密に連携し、寄付された衣料品が適切なコミュニティーの手に直接渡るよう活動している。また、寄付された衣料品から利益を得る可能性のある場所や、寄付された衣料品のために地域経済が混乱するような場所には寄付されないよう、細心の注意を払っている」と語る。Good360とNFLの取り組みは9年続いており、ワールドシリーズ終了後のメジャーリーグとも協力している。