ビューティ

「ザボディショップ」の英国事業が破綻 店舗閉鎖、人員削減により再建目指す

イギリス発の自然派化粧品ブランド「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」の親会社である独投資会社アウレリウス・グループ(AURELIUS GROUP、以下アウレリウス)は13日(現地時間)、同ブランドの英国事業が破産管財人の管理下に入ったと発表した。共同管財人に、企業再編の専門会社FRPアドバイザリー(FRP ADVISORY、以下FRP)を指名した。今後は店舗閉鎖や人員削減を進める方針で、管財人によると事業の全てまたは一部の買い手を探す間、事業は継続されるという。今回の管財手続きは英国事業のみに適用され、グローバル・フランチャイズパートナーには影響しない。

「ザボディショップ」は英国で約200店舗を展開し、2568人の従業員を抱える。FRPによると、同ブランドは「前オーナーの下、長期にわたる財務上の困難に直面していたことに加え、消費マインドの低下やインフレ、高金利など小売業界を取り巻く厳しい環境も重なった」という。「事業の進むべき道を見つけるためにあらゆる選択肢を検討しており、債権者と従業員には追って報告する」と述べた。目的は長期的に競争力のある企業に生まれ変わらせることで、「より機敏で財務的に安定した英国事業をつくることは重要なステップである」と主張した。

1976年に「ザボディショップ」を設立したアニータ・ロディック(Anita Roddick)は、動物実験に反対し、製造過程とサプライチェーンにおける持続可能性に焦点を当て、同ブランドをエコビューティの象徴的存在にまで育てた。2006年にロレアル(L’OREAL)に売却したが、倫理と商業が両立しうることを証明した最も早い英国の起業家の一人となった。「ザボディショップ」の初期の従業員であり、「ラッシュ(LUSH)」の共同設立者兼最高経営責任者(CEO)であるマーク・コンスタンティン(Mark Constantine)は英メディアに寄稿し、「『ザボディショップ』が生み出したものは誰にも奪えない。それがなければ今日の『ラッシュ』はなく、動物実験が人々の関心を引くこともなかっただろう。世界をより良い方向に変えたと言っても過言ではない」と述べた。

その後、17年にロレアルからブラジルの化粧品会社ナチュラ&コー(NATURA & CO)が買収し、昨年11月にアウレリウスがナチュラ&コーから2億700万ポンド(約392億円)で買収したばかりだった。アウレリウスは先月、リストラクチャリングの一環で欧州事業の大半とアジア事業の一部を国際的なファミリーオフィスに売却していた。この売却は実店舗とEC事業を含むが、金額など取引条件は明らかにされていない。対象となる事業は「ザボディショップ」全体の売上高の14%に相当する。グローバル・フランチャイズパートナーには影響しないが、一部のサブフランチャイズパートナーは売却に含まれる予定だという。

19年にナチュラ&コー傘下でBコープ認証を取得した「ザボディショップ」は現在、70カ国以上で約2800店舗を展開する。23年第3四半期の売上高は8億2900万ブラジルレアル(約252億円)だった。英国事業の破綻は、過去のオーナーによる過度な拡大と過小投資、ビューティ市場の競争激化の結果によるものと見られている。

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