パルは、全国の店長と本部スタッフの計1120人を集めた全社大会を21日に京都国際会館で開いた。この中で社内接客ロールプレイングコンテスト「パルシップ」の2023年度本選大会を実施した。
パルシップには予選を勝ち抜いた5人が登壇した。今回からスマートフォンによるオンライン審査を初めて導入。専門審査員だけでなく、全社大会に参加した約1000人も審査に加わり、審査する側も顧客体験について考える機会となった。
パルシップは全国のショップスタッフのCS(顧客満足)レベル向上を目的に約10年前にスタートした。以前は年2回開催していたが、コロナ禍を経て年1回開催に変更。今年は4年ぶりに本選大会が全社大会で行われた。
店舗の特性に合わせて審査
パルは40以上のブランドを有し、業態も「ディスコート」のような“アパレル大型・客数型”、「ガリャルダガランテ」などの“アパレル対面接客型”、「スリーコインズ」をはじめとする“セルフ販売型”の3つに分かれる。
ロープレコンテストでは、業態ごとに異なる顧客の買い物スタイルや期待される接客サービスに合わせて審査項目を設定。例えば、アパレル大型・客数型ブランドであれば、店内の混雑状況や顧客一人一人の様子を見ながら、スタッフ数以上の来客に対応し、買い物のアシストをできるかが審査される。ステージ上では、お客役も複数人が店内を出入りし、出場者はぞれぞれの客を相手に演技し、接客技術を披露する。
パルシップのテーマは「モノを手に入れる以外の満足が残る接客」。コロナ禍以降、変えていない。同社スマイルプロモーション室の大谷光代室長は「EC化率が拡大し、SNSでの情報を事前チェックする顧客が増えるなか、モノ以外の付加価値を総合的に感じいただけるかどうかが店頭でも重要になってきている」と話す。
ショップスタッフのインフルエンサー化を強化してきた同社には、個人で発信力を持つスタッフが数多く働いているが、今回のロープレ大会にも積極的に参加した。「フォロワーが多く、実際に店頭での接客も評価が高いスタッフが出場している。SNSのフォロワーが多いのに接客レベルがいまいちだと顧客が失望してしまい、ブランド価値が下がってしまいかねないので、そこは大事にしている」(大谷室長)。
「パワフルになれるきっかけになれば」
本選大会の審査の結果、最高賞であるプラチナ賞は「チャオパニック」京都寺町店の石田慎弥さんが獲得した。続くゴールド賞は「ディスコート」高槻店の河村裕子さん、シルバー賞は「チャオパニックティピィ」たまプラーザ店の井上夫弥哉さん、ブロンズ賞は「カスタネ」ルミネ町田店の青木里歩さんと「ラティス」博多アミュエスト店の永利遥さんに決まった。
プラチナ賞の石田さんについて、大谷室長は「1次予選から本選までずっと、用意してきた接客ではなく、本番のお客様役の見た目や言葉をしっかり捉えたうえで、その場で考えて感じたことを接客で表していたところが高く評価された」と講評した。全体的には「ロープレ大会に販売歴10年以上のベテランも参加するようになり、自分たちのレベルを試す場にようやくなってきた」と振り返った。
ロープレコンテストは初挑戦という石田さんは「自分のためにがんばったのはもちろんだが、ブランドが活気づくようパワフルになれるきっかけになればと思っていた。普段からそのお客さまがどんなものを求めているのか、どんな悩みがあるのかを一番意識して接客している。ロープレでは日頃から心がけている接客ができた。接客には自信を持っているので、新しく入ってくるスタッフにもしっかり伝え、誰かがこの晴れ舞台に上がれるよう架け橋になりたい」と力強く語った。