ファッション

フィール・グッド消費で広がるD2Cジュエリー 「アルティーダ ウード」初のコンセプトショップが登場

サザビーリーグによるD2Cジュエリーブランド「アルティーダ ウード(ARTIDA OUD)」の初のコンセプトショップが3月4日、ニュウマン新宿にオープンした。同ブランドは2018年にスタート。“ありのままの美しさ”をコンセプトに、カラフルな色石を使用した手に取りやすい価格帯のジュエリーを提案している。創業時から積極的なSNS発信をはじめ、試着やカスタマイズアプリの導入を行い、19年の売上高は初年度の約2倍に成長。20年には、渋谷・松濤に店舗兼ショールーム“ジ アナザー ミュージアム(以下、ミュージアム)”をオープンし着実に売り上げを伸ばしている。

トラフィックが多い立地でECと店舗のクロスユースを推進

「アルティーダ」の売上高の割合は、ECが8割、その他が2割とECが中心だが、コロナが落ち着いて“ミュージアム”の売上高が伸長。目的買いをはじめ、ECでの購入に抵抗がある消費者の来店が増えているという。ジュエリーを実際手に取りその場で買いたいというニーズの高まりからコンセプトショップをオープンした。約13平方メートルの新店舗のコンセプトは、“ハンド・トゥ・ハンド”。手にフォーカスし、商品の約9割がリング、残りはブレスレットなどをそろえる。店舗にはショーケースがなく、自由にジュエリーを手に取って試せるようになっている。島啓子サザビーリーグ営業統括ECブランド事業部 企画MDは、「インフォメーションがあった場所で狭いが、トラフィックは抜群。ブランドの世界観の表現は難しいのでコンセプトショップにした」と話す。販売するジュエリーの価格帯は1万〜10万円程度。一つ一つ形や色が異なる色石を使用したリングがずらりと並ぶ。中には、5000円程度で購入できるチャリティーブレスレットもある。オープンして間もないが、既に手応えを感じているという。売れ筋は、色石をダイヤモンドが取り巻く“エラフォニシ”シリーズで、客単価は3万円程度だ。島MDは、「フリーのお客さまにブランドを知ってもらえるきっかけになれば。また、駅近なのでECで購入して店舗で受け取るサービスなどを導入して、ECと店舗のクロスユースを推進したい」とコメント。路面店も含め、今後も出店を検討していくという。

独自の世界観と途上国支援で広がるファンの輪

「アルティーダ」は創業時から、ジュエリーの枠にとらわれず、オリジナルのフレグランスやビーガンネイルポリッシュの販売や“ミュージアム”での占い体験などを通して独自の世界観でファンを増やしてきた。また、同ブランドがビジネス活動を通して目指しているのは“エシカル・サーキュレーション(倫理的で持続可能な循環)”で、それを象徴する活動の一つがチャリティーだ。「アルティーダ」のジュエリーはインド・ジャイプールで制作されており、ブランドの原点とも言えるインドへの還元を目的に19年に“アイ アム ドネーション”プロジェクトをスタート。プロジェクトアイテムの1点の購入につき1000円が寄付され、さらに、そのアイテムの写真を#iamdonationを付けて投稿すると100円寄付できるというものだ。この寄付金で22年には、インド・ビハール州に6つの幼稚園を建設。現在、さらに6つの施設を建設中だという。

ジュエリーのパッケージには、廃棄予定のサリー生地を使用した巾着袋を用意。プロジェクトアイテムも巾着袋もインド人の女性の手でつくられており、職業支援と収入サポートにつながっている。新店舗のコンセプトである“ハンド・トゥ・ハンド”にも、インド女性の手から消費者の手へという思いが込められている。「アルティーダ」では、これら支援の様子や現地リポートを積極的にSNSなどで発信している。

島MDは、「新しいお客さまの多くが、ブランドの根幹にあるエシカル・サーキュレーションに共感してくれている。ブランドコンセプトをしっかり読んだ上で、『アルティーダ』を選んでもらっている。年齢層も20~60代と幅広く、ブランドの世界観を守りつつ、この輪を広げていきたい」と話す。ブランド創業時から大切に育ててきた“エシカル・サーキュレーション”。魅力的な商品や価格だけでなく、作り手のストーリーを消費者と共有しながら、継続的に支援していくというブランドの姿勢が“フィール・グッド”消費の後押しとなっているのだろう。

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