伊アパレル企業ミロリオ・グループ(MIROGLIO GROUP以下、ミロリオ)は3月12日、伊ブランド「トラサルディ(TRUSSARDI)」を買収した。金額など取引の詳細は非公開。同ブランドは以前から経営難に陥っており、1月にはミロリオが買収の交渉をしているとの憶測が流れていた。
ミロリオは1947年に、イタリア・アルバでジュゼッペ・ミロリオ(Giuseppe Miroglio)が創業したアパレル企業。「エレナ ミロ(ELENA MIRO)」や「キャラクテレ(CARACTERE)」など9ブランドを展開するほか、4つの生産工場と1100の店舗を運営している。
同社のアルベルト・ラッカ(Alberto Racca)最高経営責任者(CEO)は、「独自の歴史を持ち、イタリアを代表する高級ブランドの1つである『トラサルディ』を買収できたことを光栄に思う。これは当社の成長戦略にとって重要な一歩だ。同ブランドの特徴であるエレガンスと幅広い魅力を、現代の顧客のライフスタイルや価値観に合わせてさらに拡大していく」と語った。
「トラサルディ」は1911年、高級手袋メーカーとしてダンテ・トラサルディ(Dante Trussardi)がイタリア・ベルガモで創業。グレイハウンドのロゴで知られ、ウィメンズとメンズのほか、香水やホームグッズ、子ども服などのライセンスビジネスを手掛けている。長らく一族経営を続けてきたが、2019年2月に伊投資会社クアトロアール(QUATTROR)に株式の60%を売却。しかし、23年の段階でおよそ7000万ユーロ(約112億円)の累積債務を抱え、債権団に再建計画を提出。人員整理も行っているが、その際には政府出資による解雇手当を従業員に支給した。また、同年3月には、20年10月に就任したセバスチャン・スール(Sebastian Suhl)CEOのほか、21年にクリエイティブ・ディレクターに就任した「ゲーエムベーハー(GMBH)」のセルハト・イシック(Sehat Isik)とベンジャミン・アレクサンダー・ヒュズビー(Benjamin A. Huseby)が退任している。
今回の取引には、イタリア国内にある直営店15店、ブランドのアーカイブ、ライセンス事業などが含まれており、「トラサルディ」は独立したブランドとしてミロリオの傘下となる。ミロリオは「トラサルディ」の組織を再編し、レザーグッズ部門に注力しつつ、主要市場と位置付けるイタリア、東欧、中東にフォーカスした成長戦略で事業の立て直しを図るという。
日本では、17年にトラサルディが40%、八木通商が60%出資で日本法人を設立。八木通商は18年から同ブランドの輸入販売を手掛けていたが、現在は取り扱っていない。