有力なファッション素材見本「プルミエール・ヴィジョン(PREMIRE VISION)」が、2月6〜8日までパリで開催された。1180社が出展し、125カ国から業界のプロフェッショナル3万340人が来場した。テキスタイルデザイナーの梶原加奈子KDSデザイン代表の独自詳細リポートをお送りする。
プルミエール・ビジョンの2025年春夏のテーマは、「MUTATIONS(突然変異)」。気候変動で生態系や生活スタイルが変わりつつあることに注目し、「再生」「変形」「適応」をキーワードにしたデザインを展開していました。「過去と未来の融合」を軸にした発想はロングトレンドとなり継続し、このシーズンでは、より一層AIが身近になることを示したデジタルデザインが拡大していきそうです。
私がこのシーズンで最も注目している表現は、乳白色のパステルカラーを使ったグラデーションアイデアです。プリントや先染め、ジャカード織物など様々なテクニックを使った明るいハッピーな色合いのテキスタイルが会場中を彩っていました。次の注目ポイントは、輝くようなキラキラとした光沢感とポコポコした凹凸のある表面感。表層が豊かになっていく方向性は間違いなく強まりそうです。半透明のシアー感も提案が多く、実際のマーケットでも透け感のレイヤードスタイルのニーズも高まっており、これも継続していきそうです。
中央のトレンドフォーラムには、人と昆虫と服がAIによって融合していく概念を表現した映像が流れていました。そこで表現されていた色の移り変わり、昆虫や草花のテクスチャー感はテキスタイルに反映されそうです。個人的には未来的シルバーを使ったディスプレイも印象的でした。光の色が白、ピンク、パープルに移り変わる什器や有機的なラインからも、「自然と人工の融合」が発信されていました。会場カーペットの濃厚なピンクからは好奇心や創造力の楽しさを感じました。
2025年春夏のカラーは4つの要素で構成。1つ目はバイオ発酵されたような淡いベージュ系からイエロー系の漂白色、2つ目はピンク系とグレー系が曖昧に混じり合う乳白色、3つ目は濃縮された自然や昆虫の色素から濃厚なピンクやオレンジの中間色、4つ目は自然に溶け込むような濃厚な緑や青の同化色です。違和感を引き出すキーカラーにはダークブラウンを組み合わせる配色を提案。ライラックカラーはAIとの融合色として活躍しそうです。
2025年春夏の注目テキスタイル
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