ここ数年でファッションにおけるジェンダー意識が大きく変化した。スカート男子をちまたで見かけるようになり、Z & ミレニアル世代の男性は、メンズ・ウィメンズ関係なくファッションを楽しむ傾向にある。SNSで情報を得ている彼らは、メディア主導のトレンドを参考にするのではなく、個人の価値観で、ジェンダーやタイプといった枠組みにとらわれずにものを選んでいる。今どきの20〜30代はどこで、どのようなブランドを購入しているのか。各社セレクトショップに話を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月8日号からの抜粋です)
「グレイト」
Y2Kに続くのは
インディー・スリーズ
ラフォーレ原宿内にあるセレクトショップ「グレイト(GR8)」は、1階にアクセサリーコーナー、2、5階でウエアなどを展開している。世界中から新進気鋭のブランドをそろえ、Z世代に絶大な支持を得ている店だ。「グレイト」のtoyotaバイヤーは、「“Y2K”の次に来るのは、ジェンダーフリーが当たり前の“インディ・スリーズ”。カウンターカルチャー系ブランドの人気が高まっている」と話す。コロナが落ち着いてからの若者のファッションマインドを「どこか楽天的なオルタナティブミュージシャンの印象に近い」と表現する。
売れ筋のブランドは、ブルガリア民話とロッククライミングのディテールをミックスした「チョポヴァ ロウェナ(CHOPOVA LOWENA)」。シグニチャーのスカートは完売になることもある人気商品だ。2000年代を中心にさまざまな時代をミックスしたテイストの「マーシャ ポポヴァ(MASHA POPOVA)」は、ウィメンズで火がつき男性も購入するようになった。カラフルでエアリーな「コリーナ ストラーダ(COLLINA STRADA)」も男性に人気が高い。いずれも、ユニセックス、一度見たら忘れない強烈な個性を持ったブランドばかりだ。価格は、5万〜20万円以上と決して手に取りやすくはないが、若い男女が購入するという。これらのブランドが支持されるのは、個人のSNS発信によりトレンドが多様化し、ファッションにおける自己表現の幅が広がったから。「『バレンシアガ(BALENCIAGA)』や『マーティン ローズ(MARTINE ROSE)』などが、以前はドラァグクイーンらの専売特許だったクロスドレッシングを当たり前のものにし、ここ2年でジェンダーのバイアスはなくなった」。「センティミエント(SENTIMIENTO)」のブラ付きポロなどを若い男性が購入し、テーラードやデニムと合わせて楽しむようだ。
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