【追記:5月1日】プーチ(PUIG)は、5月3日(現地時間)に新規上場することを発表した。公開価格は24.50ユーロ(約4091円)と、仮条件レンジの22〜24.50ユーロ(約3674〜4091円)のトップに設定。最大30億ユーロ(約5010億円)の資金調達を目指すとしており、時価総額は139億2000万ユーロ(約2兆3246億円)程度になる見込み。なお、上場後も、同社を創業したプーチ家は株式資本の71.7%および議決権の92.5%を保有する。
スペイン発のラグジュアリーファッション・フレグランス企業のプーチ(PUIG)は4月8日、スペインの証券取引所(バルセロナ、マドリッド、バレンシア、ビルバオ)にIPO(新規上場)の申請をする計画を発表した。IPOの時期は未定だが、25億ユーロ(約4100億円)の資金調達を目指す。
プーチは、1914年にアントニオ・プーチ・カステロ(Antonio Puig Castello)が創業して以来、一族経営を続けてきた。同社の支配株主であるプーチSL(PUIG SL)は、一族の持株会社エクセア(EXEA)が保有している。なお、上場後も、プーチ家が過半数株式および議決権の大半を保有し続けるという。調達した資金は、2022年6月に過半数株式を取得した「バイレード(BYREDO)」の持ち分の買い増しや、設備投資などに充てる予定。
創業者の孫であるマーク・プーチ(Marc Puig)会長兼最高経営責任者は、「これは、110年におよぶプーチの歴史の中でも思い切った決断だ。当社はそのユニークでクリエイティブなDNAにより、業界をリードするブランドや創業者を引き付け、長期的なパートナーシップを築き、共に力強く収益性の高い成長を続けてきた。高級ブランドの育成には長期的な目線が欠かせないが、そうした意味で創業家が経営を手掛けることには利点がある。一方で、特に世代交代の時期において、ファミリー企業には適切な“チェックとバランス(抑制と均衡)”システムがあるべきだろう」と語った。なお、同氏は以前から、プーチ家の3世代目の中で経営に直接携わるのは自身が最後だと発言している。
プーチは、フレグランス・ファッション部門に属する「ラバンヌ(RABANNE)」「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」「ニナ リッチ(NINA RICCI)」「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」「キャロリーナ ヘレラ(CAROLINA HERRERA)」、メイクアップ部門の「シャーロット ティルブリー(CHARLOTTE TILBURY)」「クリスチャン ルブタン ビューティ(CHRISTIAN LOUBOUTIN BEAUTY)」、スキンケア部門の「カーマ アーユルヴェーダ(KAMA AYURVEDA)」「ドクター バーバラ シュトルム(DR. BARBARA STURM)」など17のブランドを擁し、32カ国に進出。
同社の23年12月期決算は、売上高が前期比18.8%増の43億400万ユーロ(約7058億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)が同33.1%増の8億4900万ユーロ(約1392億円)、純利益が同16.5%増の4億6500万ユーロ(約762億円)の増収増益だった。