パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会(以下パリ大会)開幕まで残り100日となり、日本選手団が表彰式や選手村などで着用する公式スポーツウエア全12型が公開された。日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラリンピック委員会(JPC)とパートナーシップを結ぶアシックスが引き続き手掛けており、「パフォーマンスとサステナビリティの両立」がコンセプト。表彰式で着用する“ポディウムジャケット”“ポディウムパンツ”は、東京大会のウエアに対しCO2排出量を34%削減したという。
酷暑を念頭に公式ウエアを製作した東京大会に対し、パリ大会は朝夕の寒暖差の激しさを意識した。“ポディウムジャケット”は、アシックススポーツ工学研究所による「アシックスボディサーモマッピング」に基づき、着用者の動きに合わせて脇や背中のパーツのメッシュ孔が開閉。それにより、気温差に関わらず衣服内温度を快適に保つ。“TEAM JAPAN RED”と東京大会でも採用したサンライズレッドとのグラデーションで、パリの日の出をイメージした点もポイント。グラデーションカラーの生地でパーツを裁断し縫製するため、「全く同じデザインはシミュレーション上1着もない」(大堀亮アシックス アパレル・エクィップメント統括部開発部マネジャー)という。
全アイテムでリサイクル素材使用
“ポディウムジャケット”“ポディウムパンツ”のほか、黒いフーディーとパンツのセットアップ、矢がすり風グラフィックのTシャツ2色、ポロシャツ、ハーフパンツ、ソックス、バックパック、シューズの全12型。シューズは4月12日に発売した循環型スニーカー“ニンバス ミライ”をベースにしている。
全アイテムでリサイクル素材を使用し、ウエア・雑貨の主要素材ではリサイクル素材使用率70%以上という。また、“ポディウムジャケット”“ポディウムパンツ”、シューズの製造工場には再生可能エネルギーを導入。各アイテムで、アシックスが独自に算出したカーボンフットプリント(製造工程で排出したCO2量)も公開する。また、アシックスはこれらの供給商品の製造工程で排出されるCO2量を上回るカーボンクレジットを購入。こうした取り組みで、パリ大会が掲げるクライメート・ポジティブ(温室効果ガス削減量が排出量よりも少ない状態)を推進する。
開会式・閉会式用の式典ウエアも公開
公式スポーツウエアの発表会見には、尾縣貢JOC選手団長、田口亜希JPC選手団長、富永満之アシックス社長COOのほか、バレーボールの西田有志選手ら15人のパリ大会参加選手も登場。アシックスの現役社員で、パリ大会に参加内定している(予定者含む)パラ陸上の新保大和選手、同 竹村明結選手、同 田巻佑真選手も登壇した。
同じ会場では、開会式や閉会式で日本選手団が着用する式典用オフィシャルウエアも公開。アシックスがパートナーを務める公式スポーツウエアとは違い、式典用ウエアは公募によってサプライヤーを決定しており、「サプライヤーは公表しない」(JOC広報担当者)。日本をイメージさせる赤や白に、古くから日本で縁起のよい色とされる“勝色”(濃いネイビー)を組み合わせ、また開催国フランスへのリスペクトも込めて、襟元や全体的なコーディネートとしてトリコロールを想起させる色合いを取り入れている。