エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES以下、ELC)はこのほど、傘下の投資ファンド、ニュー インキュベーション ベンチャーズ(NEW INCUBATION VENTURES以下、NIV)を通じて、米コスメブランドの「キキ ワールド(KIKI WORLD)」に出資したことを発表した。米ベンチャーキャピタルファンド、アンドリーセン・ホロウィッツ(A16Z)のブロックチェーン部門であるA16Zクリプトとともに資金調達ラウンドを主導し、出資額は700万ドル(約10億7100万円)に達した。2022年11月に実施した投資を、このほど発表した形だ。
「キキ ワールド」とは?
「インターネットは創造力の“エンジン”」
同ブランドの共同設立者であるジャナ・ボボシコヴァ(Jana Bobosikova)、ブレンドン・ガーナー(Brendon Garner)、リッキー・チャン(Ricky Chan)の3人は声明で、「『キキ ワールド』はインターネットやコミュニティを、消費へと誘う空間のみならず、創造力の“エンジン”と捉えている」と語った。NIVのシャナ・ランダヴァ(Shana Randhava)=シニア バイス プレジデントは、「顧客を第一に考えて新たな手法を生み出す彼らのビジョンに興奮している。Web3.0テクノロジーの最前線を活用し、消費者とブランドを共創する『キキ ワールド』は、ELCの可能性を広げてくれるだろう」と加えた。同ブランドへの投資には、消費者向けテクノロジーファンドのダブルダウン(DOUBLE DOWN)やツーパンク キャピタル(2PUNKS CAPITAL)、アドバンシト(ADVANCIT)、デジタルコミュニティのレッドダオ(RED DAO)、オレンジダオ(ORANGEDAO)、デジタルクリエイターのGマネー(GMONEY)が続いた。
エスティ傘下の投資ファンドNIVとは
ELCは21年3月にNIVを設立し、当時評価額300万ドル(約4億5900万円)だったメンズグルーミングブランドの「ファカルティ(FACULTY)」に投資した。また、英スキンケア・フレグランスブランドの「ヘッケルス(HAECKELS)」や中国・上海発の高級フレグランスブランド「メルト シーズン(MELT SEASON)」、中国のクリーンビューティブランド「コードミント(CODE MINT)」などに積極的に投資する。同社はロレアル(L'OREAL)、ユニリーバ(UNILEVER)、プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE)に並び、独自のアプローチで投資を図る。近年は大型投資だけでなく、初期段階のスタートアップ企業やテクノロジー企業に注力。
大手ビューティ企業による新興ブランドへの投資規模は5万ドル(約765万円)と小額の場合も多く、約1000万ドル(約15億3000万円)を上限とする企業もある。