カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)は渋谷駅前の「渋谷ツタヤ(SHIBUYA TSUTAYA)」を4月25日に改装リニューアルオープンする。改装前は日本一の品揃えだったレンタルビデオ・DVDはなくなり、アニメやフィギュア、ゲームなどのキャラクターをかけ合わせた売り場やプロモーションスペースや、自社運営のスターバックス、好調な「シェアラウンジ」、飲食が軸になる。地上7階、地下2階の合計9フロアで、売り場面積は4478㎡(1357坪)。売上高は未公表だが、日本屈指の通行量を誇る渋谷スクランブルのトラフィックを取り込み、1日3万人の来館を見込む。高橋誉則(やすのり)CCC社長兼CEOは「次世代のリテールに対する一つの挑戦。世界に向けて”好きに出合える場所”を作った」と語った。
CCCがリニューアルに向けて「渋谷ツタヤ」の店前通行者数の調査を行ったところ20代の女性が最大、次いで20代の男性が多かったという。訪日外国人もコロナ後は、銀座や浅草、新宿・渋谷と比べても「渋谷」が圧倒的に多く、「20代と訪日客をターゲットにコンテンツを提供するべき」(高橋社長)という結論になったという。
2階はスターバックス、3・4階は定額制のカフェ・飲食スペース「シェアラウンジ」、5階は「シェアラウンジ」の新業態の20代の大人がポケモンカードゲームを楽しめる「ポケモン カードラウンジ」とした。「シェアラウンジ」は2019年の渋谷スクランブルスクエアの開業と同時にスタートしたCCCの比較的新しい業態だが、「レンタル業態TSUTAYAのピーク時をも上回る高効率&高収益事業」(担当者)で、開始からわずか4年で全国に約40店舗を出店している。「渋谷ツタヤ」独自の取り組みとしては、冷凍食品を用意する。同売り場の担当者は「渋谷店や丸の内店などの都心店は、お酒を飲みながらゆっくりマンガを読みたい女性客を掘り当てた。ツタヤ渋谷店は、アートや建築、ファッションの大型書店と並び、特にマンガを多く揃えた。マンガの数は70店舗の中でも最大数」という。
6階は人気アニメやゲームのキャラクターホルダーとコラボレーションした「IP書店」に。同売り場の担当者は、「これまでのアニメコンテンツのポップアップは間にメーカーや代理店が入って、”本当にファンが欲しいもの”という視点が足りなかった。”毎日がコミケ”をテーマに、IPホルダーやクリエイターと一緒に売り場を作り上げられた」と自信を見せる。
7階はアニメやマンガ、アーティストなどのIPコンテンツとコラボレーションしたコラボレーションカフェで、ゆったりとしたソファーやテーブルを並べ、お酒などとともにオリジナルのフードやデザートの提供を予定している。
今回のプロジェクトを管掌したCCCの鎌田崇裕(たかひろ)渋谷プロジェクト エグゼクティブプロデューサーは「売上高は非公表だが、内訳はプロモーションが4割、物販が3割、カフェやシェアラウンジ、飲食が3割という想定。物販だけにとどまらない次世代のリテールを追求する」と意気込む。渋谷ツタヤは建物をまるごとCCCが長期で定借しており、契約期間はあと20〜30年ほどと見られている。