東京都は、日比谷公園でアートインスタレーション「プレーグラウンド ビカムス ダーク スローリー(Playground Becomes Dark Slowly)」を4月27日から5月12日まで開催している。
同イベントのコンセプトは、“公園という都市の隙間の中で、変化する日の光を感じながら、自然への想像力を駆り立てる”だ。東京アートアクセラレーション共同代表の山峰潤也をキュレーターに迎え、現代美術家の大巻伸嗣、建築家の永山祐子、サウンドアーティストの細井美裕の3人が、日比谷公園内にアート作品を展示する。
大巻は遊具が並ぶ草地広場に、8mにおよぶ壺型のオブジェ「Gravity and Grace」(2019)を設置し、日常の風景の中に異質なアートがそびえ立つ空間を演出した。永山は、花壇をピラミッド状のハンモックで覆った「はなのハンモック」を制作。花畑の上に寝そべっているような体験ができる。また、細井は日比谷公園に溢れる自然音や生活音を録音するプロジェクトを行い、収集した音を園内放送で流す「余白史」を実施する。
公園×アートで「公園の新たな楽しみ方」を提案
アンバサダーはモデルの西内まりや
4月26日に実施したメディア向け内覧会では、都立公園の整備と運営を担当する古屋留美=東京都生活文化スポーツ局長が登壇した。キュレーターの山峰と上記のクリエイター3人、そしてアンバサダーを務めるモデルの西内まりやと共に、イベント立ち上げの経緯や見どころを語った。
古谷局長は、「日比谷公園は、120年前に設置された伝統的な場所であり、洋花を初めて都民にお披露目するなど、たくさんのチャレンジングな取り組みが行われてきた。公園の新たな楽しみ方と価値を人々に提供するために、今回はアートを取り入れたイベントを企画した」と話した。
イベント名「Playground Becomes Dark Slowl」は、日本語で“ゆっくりと日が暮れる遊び場”を意味する。“変化する日の光を感じる”というコンセプトについて、キュレーターの山峰は、「公園と人との関係性の間にある2つの側面に注目した。一つは誰しもが持つ幼少期の記憶で、日が暮れて家に帰る頃になると、虫の声などの小さな物事に注意が向くようになる点。2つには、子供から大人に徐々に成長するスピードが、ゆっくりと日が落ちていく感覚と似ている点だ」と説明した。これにちなみ、永山の「はなのハンモック」は日中、壺の内部にライトを設置した大巻の「Gravity and Grace」は夜をメインに、細井の「余白史」は一日を通して楽しめる仕様になっている。
アンバサダーの西内は、「作品を見た瞬間ワクワクしたし、自然の中にアートがあることで、五感が刺激された。年齢、性別、国籍問わず、誰しもがそれぞれの感じ方で楽しめる空間になっているので、たくさんの人に来園してほしい」と呼びかけ、「私がイベントの良さを伝えていけたら」と笑顔を見せた。