ユナイテッドアローズがこのほど立ち上げたウィメンズシューズブランド「シー ユナイテッドアローズ(SY UNITED ARROWS)」(以下、シー)は、エッジの効いたデザインと1万5000円以下の手に取りやすい価格帯が強み。同社のシューズブランド「オデット エ オディール(ODETTE E ODILE)」で取りきれていなかった20代を狙う。企画は婦人靴メーカーで経験を積み昨年同社に入社した加藤亜季が担当する。
「オデット エ オディール」とすみ分け 確実に20代に届ける
「オデット エ オディール」課課長で「シー」の事業責任者を兼務する遠藤剛史は、「市場全体で見ると若者に向けた商品はギャルモードやベーシックなテイストに偏っている一方で、ラグジュアリーは価格が高騰している。日常的に履くことができて遊び心もあるモードカジュアルのカテゴリーは実は少ない。お客さまの『このデザインが欲しいけど、手が届かなかった』という気持ちを解消するブランドにしたい」と話す。
「オデット エ オディール」でも約3年前から若年層向けに1万円前後の商品を企画しEC限定で販売するなどの施策を取ってきた。「しかし、もともと顧客の年齢層が高い『オデット エ オディール』のなかでの提案には限界があった」と遠藤課長。2023年秋冬シーズンには「オデット エ オディール」を、モード感を強めたフェミニンシックをデザインコンセプトにより大人向けにリブランディングし、価格帯はこれまでのボリュームゾーンだった2万円以下から、2万〜3万円に裾野を広げた。
「それぞれ棲み分けをはっきりさせたことでブランドの輪郭がシャープになった。『シー』は4月に発売したばかりだが、ターゲット層に届いている感覚もある」と手応えを語る。現在「シー」の販路はECと「オデット エ オディール」直営店が中心。中長期的には単独店の出店も目指すという。
一歩踏み込んだデザインに挑戦
4月に発売した第一弾商品は、変形ウエッジヒールが特徴的なメタリックシルバーのパンプス(1万3200円)が象徴する大人モードな雰囲気と、きらびやかなピンクのスパンコールを全面に配したスクエアトゥのバレエシューズ(1万2100円)などの華やかな雰囲気の2つのテイストを軸に企画した。加藤担当は、「共通して開放的で前向きなエネルギーを感じてもらいたいと思った。過去の職場ではいろいろなメーカーやブランドを見てきたが、売れる商品を作ろうとするとデザインが控えめになる傾向があった。『シー』では、それをしてしまうと逆に他社と差別化が出来ない。思い切って一歩踏み込んだデザインに挑戦している」と話す。
大ぶりなビジューを散りばめたスポーツサンダル(1万4300円)は、ソールの縁にも小さなスタッズを配してデコラティブに仕上げた。きゃしゃなTストラップのサンダル(1万3200円)は、クリアヒールを組み合わせモードかつ清涼感のある印象に。共通して使用している中敷は、履き心地を考慮して厚みがあるものを採用した。市場で人気のフラットシューズはバリエーション豊富にそろえると同時に、7cmヒールをメインにスタイルアップを叶える提案にも重きを置く。デザイン性を担保しつつも、海外で生産したり合成皮革を採用したりすることでコストを抑える。
今後はターゲット層世代の店舗スタッフの声を取り入れながら、商品をアップデートしていく。また定期的に新作を出しインスタグラムを中心に訴求することで、接点を増やす。