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中島セナが演技や絵と向き合うことで気付いた大切なこと

PROFILE: 中島セナ/モデル・俳優

中島セナ/モデル・俳優
PROFILE: (なかじま・せな)2006年生まれ、東京都出身。17年にスカウトされモデルデビュー。間もなく「POPEYE」や「COMMERCIAL PHOTO」などの表紙を飾り注目を集める。ほか、「クソ野郎と美しき世界」(18)、「WE ARE LITTLE ZOMBIES」(19)、「光を追いかけて」(21)などの話題映画にも出演。23年12月から配信された「Disney+」日本発オリジナルシリーズ「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」では、奥平大兼と共に主演を務めた。21年には新人女優の登竜門とされる「ポカリスエット」のCMに起用され、翌年も引続きヒロインを演じた。また、20年よりKANEBO「I HOPE.」のメインキャラクターも務めている。

中学生の頃からファッションモデルとして活動。近年は俳優としても注目を集める中島セナが、映画「あこがれの色彩」で初めて映画の単独主演に挑んだ。映画「あこがれの色彩」は、陶芸の街で父親と暮らす少女、結衣の物語。絵を描くことが好きな結衣は、美術教室に通っているが、技術を重視する指導になじめない。そんな中、父親に新しい恋人ができたことに動揺する。大人たちの都合に振り回されながら悩み、反発する結衣の揺れ動く想いを、中島セナは等身大の演技で表現した。監督は資生堂のCMを数多く手掛けるなど独自の美意識が評価される小島淳二。結衣と同じように絵を描くことを趣味にしている中島セナに、映画のことや色彩、ファッションについて話を聞いた。

——この物語のどんなところに興味を持たれました?

中島セナ(以下、中島):主人公の結衣と同じぐらいの年齢の時に撮影していたのですが、大人への不信感だったり、自分が思っていることを発露することへの難しさだったり、そういった結衣が抱えている10代特有の気持ちがよく分かったんです。結衣ほどは強くないですけど、私にもそういう感覚は少なからずあるので。

——結衣は14歳。複雑な年頃ですね。両親が離婚して父親と祖母と暮らしている結衣は、父親に恋人ができたことに対して嫌悪感を感じて親子関係がこじれていきます。思春期は親子関係が難しい時期ですね。

中島:私自身は父とは仲が良くてギクシャクしたりはしなかったのですが、周りではそういう話はよく聞きました。子どもの頃みたいにはいかなくなってくるというか。撮影前に監督と結衣についていろいろお話しさせていただいたのですが、監督は結衣と父親との関係が重要だということを言われていましたね。

——結衣の友達に対する距離感も微妙です。友達は援助交際のようなことを始めたりして危ういことに興味を持ち始める。結衣は絵を描いていたいけど、孤立するのは嫌だからなんとなく友達と付き合っています。

中島:友達との距離感がはかりづらい時期ですよね。私はわりと1人でいるのが好きで、学校でもグループに属したりせずに1人で本を読んでいたりしたんです。中学の頃には仕事をしていたので、学校以外の世界があることを知っていたことも大きかったんじゃないかなって思います。

——確かに、学校の外の世界を知っている、そこに自分の場所があるというのは他の生徒たちとは大きな違いですね。

中島:あと、子どもの頃から絵を描くのが好きだったんです。学校で友達と遊んだりするよりも、家に帰って絵を描いてました。絵は誰かと一緒にやることではないので、一人でいることに慣れていたのかもしれません。

絵を学ぶことで気付いたこと

——結衣の趣味も絵を描くことでしたね。結衣が絵を描くようになった理由が父親との関係にあることが最後に明らかにされますが、中島さんが絵を描くのが好きな理由は?

中島:絵が特別うまいというわけでもないのですが、気が付いたら描いていました。去年1年、先生に指導を受けて本格的に絵を勉強してみたんです。そうすることで、表現についていろいろ学ぶことができたので、これから絵に対する向き合い方は変わっていくような気がします。

——絵を勉強するなかで、どんな発見がありました?

中島:作者がどういう狙いでそれを描いたのか。こういう構図になっているのはどうしてなのか。作品の裏側を考えるようになったのは大きいと思います。映画の世界も同じで制作する側から見ると作品がまた違って見えてくる。これからは、絵を描くことが生きていく上で大切なものの1つになるんじゃないかなって思います。

——自分が作る側になることで見えてくるものってありますよね。映画の中で、結衣は自分の好きなように絵を描きたいのに、美術の先生は基礎をしっかりやりなさい、と結衣の描き方を注意します。自分の気持ちのおもむくままに描くのか。基礎を身につけるのか。その葛藤についてはどう感じました?

中島:基礎が絶対必要だとは思わなくて、自分がどんなものを目指しているかによって基礎を学ぶべきかどうかが変わってくる。自分の目標に合わせて何が必要かを考えればいいと思います。でも、「やるべきこと」と「やりたいこと」の間に挟まれることは重要なんじゃないでしょうか。そうすることで成長していく。だから私自身は、基礎的なことを学びながら自分の表現を探っていきたいと思っています。

——そうすることで自分にとって大切なものが見えてくるのかもしれませんね。そういえば、中島さんが描いた絵が映画の中にも登場しているとか。

中島:結衣の部屋にいっぱい貼ってあるんですけど、その中の何枚かが私の描いた絵なんです。

——結衣の絵はカラフルな色彩が印象的でしたが、中島さんの絵はどんな作風なのですか?

中島:色は好きだし重要だと思っているんですけど、結衣とは逆で私はモノクロで描くことが多いですね。

色彩、ファッションについて

——普段着ている服の色使いはどうですか?

中島:やっぱり、カラフルなものよりモノトーンのものが多いかもしれないですね。モノトーンは色が合わせやすいというのもあるんですよね。色が少ないと差し色を入れてもきれいにまとまるし。服を見るときは黒を手に取ることが多いです。

——モノトーンとの組み合わせでよく使う色は?

中島:緑が多いかも。緑も好きな色なんです。小物とかバッグは緑が多いですね。白と黒と緑という組み合わせが好きなんです。

——そろそろ、大人っぽい服に挑戦してみたいと思われたりはします?

中島:最近は親の服を借りたり、ちょっと高い服を買ってみたりしています。例えば、「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」。生地がすごくいし、体が動かしやすくて機能的だし、シルエットがちょっと変わっているところもいいなと思います。

——「黒」といえば山本耀司さんですよね。小島監督も独特の美意識を持たれています。この作品でも繊細な光の捉え方が印象的でしたが中島さんはどのように感じられました?

中島:本当に繊細な感覚をお持ちだと感じました。静けさのなかに独特の空気感を感じさせる映像だと思いました。

——「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」、そして、本作と主演を務めるようになってきましたが、役者という仕事は続けていきたいと思いますか?

中島:演じる、ということは、私にとってすごく難しいことなんですけど、役者の仕事を通じて吸収できることは吸収して自分の引き出しに入れていけたら良いなと思います。今回の作品では、初めて感情を爆発して叫ぶ演技をしたのですが、うまくできるかすごく不安でした。でも、監督と事前に話をしてなんとかやれました。そんな風に少しずつ経験を重ねて成長していきたいと思っています。

——演技と絵。その両方から刺激を受けながら成長していけるといいですね。

中島:演技と絵は違うものですが、私は何かを表現することが好きなんだなって思います。最近は文章や写真もやりたいと思っていて、いろんな表現を並行して追求していきたいですね。

PHOTO:MIKAKO KOZAI(L MANAGEMENT)
HAIR & MAKEUP:TOMOKO KIDO
ラメジャガードパンツ2万6400円、スキッパーパフスリーブシャツ 2万6400円/ともにTICCA、シューズ 3万5200円/CASTELLANO

■「あこがれの色彩」
5月10日から渋谷シネクイントほか全国順次公開
出演:中島セナ、大迫一平、宮内麗花、安原琉那、MEGUMIなど
監督:小島淳二
撮影:安岡洋史
プロデューサー:荒木孝眞
配給:スタジオレヴォ
制作:teeveegraphics,INC.
協賛:佐賀県フィルムコミッション
2022年/日本/カラー/107 分/17:9/5.1ch デジタル
©2022 teevee graphics, INC. all rights reserved.
https://akogare-iro.jp

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