KONTAKT
優しさと想像力を武器に
“編集”の価値を押し上げるクリエイティブ集団
“編集”の価値を信じ、押し上げているのがクリエイティブ・エージェンシーのコンタクト(kontakt)である。最近取材した新ブランドの展示会やイベントで、担当者から「キャンペーンをコンタクトに編集してもらった」と強調される機会が続いた。裏方に徹することが多い“編集”に価値が加わった証拠といえるだろう。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月13日号からの抜粋です)
コンタクトは、川島拓人クリエイティブ・ディレクターと神田春樹プロデューサーが2015年に設立した。共にファッション誌の編集を経験し、編集者への扱いに対する良い面も悪い面も見てきた。「当時から、“編集”というものはいろいろなところに生かせると考えていた。でも1人だと動ける範囲に限界がある。だから神田と会社を立ち上げ、チームで動くことを選んだ」と川島クリエイティブ・ディレクター。
2015年に設立後、約2年間はとにかく雑誌のページ作りを続けた。3年目に入ると、その地道な仕事が徐々に大きな評価へとつながり、企業からも仕事が入るようになった。現在は「ロエベ(LOEWE)」「オーラリー(AURALEE)」「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」、ユナイテッドアローズなどのファッションをメインに、インテリア系のキャンペーンも手掛けながら、17年には雑誌「パートナーズ(PARTNERS)」を創刊したり、昨年は「さいたま国際芸術祭2023」に参加しファッションショーを企画したりと、活動の幅をどんどん広げている。営業職は置かず、現在は20代を中心とする若い11人の“編集者集団”が約60の案件を同時進行するという躍進ぶりだ。設立から離職者はゼロ。ロンドンにも拠点を構えてスタッフが駐在しており、国内外の多くのクリエイターとフラットな関係性を築きながら、コンタクトらしいクリエイティビティーはますます熟成されている。
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