ゴールドウインの2024年3月期連結業績は、純利益が前期比15.7%増の248億円になった。2期連続で最高益を更新した。引き続き主力ブランド「ザ・ノース・フェイス」が好調だった。円安の影響で値上げを実施したものの、アウターなどの高付加価値商品の動きが良かった。ブランド力を背景に返品や値引きも抑え、粗利益率を0.7ポイント改善している。営業利益は同8.9%増の238億円だった。
売上高は同10.3%増の1269億円で、こちらも過去最高を更新した。「ザ・ノース・フェイス」が安定成長したことに加えて、世界市場に向けた戦略ブランドに位置付ける「ゴールドウイン」も伸びた。円安で調達コストは上がったが、国内売上高の1割、直営店売上高の2割をインバウンド(訪日客)が占めるようになるなど恩恵にも預かった。
持分法適用関連会社であるヤングワンアウトドア(ソウル)の「ザ・ノース・フェイス」の韓国事業は、売上高が1兆ウォン(約1000億円)と日本を超える規模に成長した。
14日の決算説明会に登壇した渡辺貴生社長は「『ザ・ノース・フェイス』を中心に割合としてはライフスタイル(日常着)の売上高が大きいが、パフォーマンス(高機能ウエア)に対してお客さまの期待が高いことを感じる。引き続き付加価値の高い商品の開発に力を注ぐ」と話した。
25年3月期の予想は、売上高が前期比5.0%増の1332億円、営業利益が同24%減の181億円、純利益が同13.5%減の210億円。減益になるのは、従業員のインセンティブとして自社株式を給付するJ-ESOP(株式給付信託)に伴う追加費用、本社移転の経費など一過性の経費が45億円見込まれるため。また渡辺社長は「今期はコロナで見送っていた成長投資に本腰を入れる」と話し、マーケティング費用も積み上げる考え。一過性の経費を除けば、営業利益率17%の高水準を維持できると予想する。