毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月13日号からの抜粋です)
利川:昨年7月17日号の「クリエイターズ アンダー30」に続くクリエイター特集を作りたいと考え、企画しました。独立系クリエイティブ集団が活躍し始めている昨今の潮流を押さえ、注目のプロダクションと、若手のクリエイター、異色のキャリアのクリエイターの全14組を取材しました。
大塚:ブランドとしての表現のアウトプットがSNSや動画など多岐にわたるようになり、「やりたい!」を実現してくれる小集団が台頭してきていますよね。要因はいろいろあると思いますが、僕は小集団の「代理店の中抜きに疑問を感じ、自分たちでやろうと決めた」という話が腑に落ちました。
フラットな関係で 作品を作る集団に注目
利川:クライアントが上で、間に代理店が入って、クリエイターは下というタテ構造ではなく、クライアントと制作陣が直接話し合えるフラットな関係でモノ作りをしたいという思いも感じました。
大塚:もちろん代理店の持つノウハウやスキル、信頼性が生きる場面も多々あるんですけれどね。
利川:4大卒の私の周りでは企業に就職する人が多かったので、クリエイターとして活躍するにはどういうキャリアを積めばいいのか知りたいという個人的な興味もありました。学生読者の参考にもなればうれしいです。
大塚:専門学校出身にとっては、好きなことや得意なことで立身というのは自然なこと。ただ、かつてはスタイリストやフォトグラファーといえば、師匠のもとで下積み時代を過ごした後に独立するというのが定石でしたが、独学であっという間に現場に出る人が増えていることに“世代の違い”を感じました。今は学ぼうと思えば学べるし、SNSで作品を露出できるし、センスと行動力さえあれば活躍しやすくなってきていますね。
利川:そうですね。取材した方々の多くは、他のクリエイターと友人としてつながりながら、とても楽しそうに仕事をしていたのが印象的でした。以前から「横のつながりで、仕事がくる」という言葉をよく聞いていましたが、それがようやく理解できました。
大塚:横のつながりは大事。僕は「クラブに行って知り合いを作らないと話にならない」と言われた世代で、行きたくもないクラブに通ってみるものの、友だちはできずでした(苦笑)。今はSNSなどもあり、つながりを作るチャンスは確実に増えていて、クリエイターにとっていい時代だと思いました。