主要ファッション企業の2023年度業績が出そろった。コロナが明けてファッション消費は上向いており、22年度と比べれば売上高、営業利益はおおむねプラスになっている。では、コロナ前の19年度と比較した場合はどうか。パンデミックの危機をバネにして大きく飛躍した企業もあれば、回復道半ばの企業もある。4年間の各社の業績推移を見てみよう。(この記事は「WWDJAPAN」2024年5月20日号からの抜粋です)
世界市場で高機能なシューズ、ウエアが伸長
スポーツ企業は早くからグローバル市場の開拓が進んでいる。その筆頭であるアシックスは、売上高に占める海外の割合が8割以上。4年前に比べて売上高が1.5倍、営業利益が5倍になった。コロナ前は北米での販売不振が長引いて低迷していたが、その後のテコ入れでV字回復し、最高業績を更新し続ける。主力のランニングシューズでは最新の機能を搭載した高価格帯モデルが活発に動き、また「オニツカタイガー(ONITSUKA TIGER)」「スポーツスタイル(SPORTSTYLE)」といったファッションスニーカーが世界中の若者の支持を集めるようになった。
野球、ゴルフ、サッカー、ランニングなど幅広い競技のウエア、シューズ、用具を展開するミズノは、24年3月期まで3期連続で売上高と営業利益が過去最高を更新した。米国では高機能のゴルフクラブがよく売れる。デサントは4年前に比べて売上高は横ばいだが、利益率が格段に良化した。戦略ブランドと位置付ける「デサント(DESCENTE)」を中心に、供給量を緻密に管理し、値引き販売の抑制を定着させた。特に中国において「デサント」はプレミアムスポーツブランドとしてのブランディングに成功し、日本円で十数万円以上のアウター類がヒットした。
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