コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)は、新たな最高経営責任者(CEO)として、傘下に持つヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)のニコラ・ボス(Nicolas Bos)CEOを任命した。6月1日付で就任する。これに伴い、現職のジェローム・ランバート(Jerome Lambert)CEOは、以前の役職だった最高執行責任者(COO)に戻り、ボス新CEOの直属となる。
新CEOはより幅広い役割に
リシュモンは2017年3月にCEO職を廃止したが、18年9月にこれを復活し、ランバートCOO(当時)がCEOに就任した。なお、ボス新CEOは、全ての傘下ブランドおよび地域を直接的・間接的に統括するほか、財務や人事部門も統括するなど、より幅広い役割を担うという。
ボス新CEOは、フランスのESSECビジネススクールを卒業。1992年にリシュモンに入社し、2000年にヴァン クリーフ&アーペルに加わった。同ブランドでさまざまな要職を務め、13年にグローバル・プレジデント兼CEOに就任。19年からはブチェラッティ(BUCCELLATI)も統括している。
ヨハン・ルパート(Johann Rupert)会長は、「『ヴァン クリーフ&アーペル』の成長に多大な貢献をしたニコラが、グループの新たなCEOに就任することを大変うれしく思っている。彼は、ジュエリーと小売りにさらにフォーカスしていくリシュモンを、次の段階へと導いてくれるだろう。また、ジェロームが再びCOOを務めてくれることも非常にありがたく思う。リシュモンの支柱をさらに強化し、今後のかじ取りに大いに貢献してくれるに違いない」と述べた。
24年3月期決算はジュエリー部門がけん引、ウオッチ部門は不調
リシュモンは、「ヴァン クリーフ&アーペル」のほかに、「カルティエ(CARTIER)」「ピアジェ(PIAGET)」「ヴァシュロン・コンスタンタン(VACHERON CONSTANTIN)」「クロエ(CHLOE)」「ダンヒル(DUNHILL)」などのブランドを擁している。
同社の24年3月期決算は、売上高が前期比3.3%増の206億1600万ユーロ(約3兆4841億円)、営業利益は同4.7%減の47億9400万ユーロ(約8101億円)だった。部門別の売上高では、ジュエリー部門が同6.0%増の142億4200万ユーロ(約2兆4068億円)と業績をけん引。一方、ウオッチ部門は、中国の景気後退を背景とした世界的な高級腕時計の需要減やスイスフランの高値により、同2.7%減の37億6700万ユーロ(約6366億円)と不調だった。