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「ベネトン」が新CEOを任命か 創業者は現経営陣に「裏切られたと感じている」

情報筋によれば、ベネトン グループ(BENETTON GROUP以下、ベネトン)は新たな最高経営責任者(CEO)として、社外からクラウディオ・スフォルツァ(Claudio Sforza)を任命するようだ。現職のマッシモ・レノン(Massimo Renon)CEOの後任として、6月18日付で就任するという。

ベネトンの共同創業者であるルチアーノ・ベネトン(Luciano Benetton)=エグゼクティブ・プレジデントは5月25日、伊紙「コリエーレ・デラ・セラ(CORRIERE DELLA SERA)」のインタビューで、レノンCEOの名前は挙げなかったものの、「現在の経営陣は会社を赤字に追い込んだ。いかに状況が悪化しているのか、最近になってようやく発覚したが、彼らに裏切られたと感じている」と発言。また、自身も退任し、同社を離れるつもりであることを明らかにした。

ベネトンの業績の推移

ベネトンは36年にわたりミラノ証券取引所に上場していたが、創業家の持株会社であるエディツィオーネ(EDIZIONE)が株式の95%以上を買い付け、2012年5月に上場廃止となっている。

同社の22年度の決算は、売上高が前期比19%増の10億400万ユーロ(約1768億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同70%増の1億300万ユーロ(約175億円)、純損失は8100万ユーロ(約137億円)だった。23年度の決算は取締役会の承認を得ており、6月18日の株主総会で発表するが、売上高は11億ユーロ(約1870億円)、純損失は2億3000万ユーロ(約391億円)程度と見込まれる。なお、14年の売上高は16億2000万ユーロ(約2754億円)、16年は13億7000万ユーロ(約2329億円)だった。

ルチアーノ共同創業者や新CEOと目される人物の経歴

現在89歳のルチアーノ=エグゼクティブ・プレジデントは、弟妹のジュリアナ(Giuliana Benetton)、ジルベルト(Gilberto Benetton)、カルロ(Carlo Benetton)と共に、1965年にベネトンを創業。「ユナイテッド カラーズ オブ ベネトン(UNITED COLORS OF BENETTON)」は、色鮮やかなニットウエアや斬新な広告で一世を風靡し、世界的なブランドとなった。2012年4月、上場廃止を前に、息子のアレッサンドロ(Alessandro Benetton)を後継者に指名して引退。その後は、コンテンポラリーアートを展示する「イマーゴ ムンディ(IMAGO MUNDI)」を世界中で開催することに注力した。しかし、2年後の14年にアレッサンドロが退社。創業以来初めて一族以外からトップが選ばれたが、売り上げの低迷を受け、18年2月に現職として復帰した。なお、カルロは18年7月に、ジルベルトは同年10月に死去している。

レノンCEOは、00年に世界最大のアイウエア企業ルックスオティカ(LUXOTTICA、現エシロールルックスオティカ)に入社。10年のキャリアを積んだ後、サフィロ(SAFILO)やケリング(KERING)のアイウエア部門を経て、大手アイウエア企業マルコリン(MARCOLIN)に加わった。17年にCEOに就任。20年4月、現職としてベネトンに入社した。

スフォルツァは、イタリアの郵便事業を行うポスタ・イタリアーネ(POSTA ITALIANE)の最高財務責任者やゲーム会社ゲームネット(GAMENET)のCEO、鉄鋼会社イルヴァ(ILVA)の最高執行責任者などの要職を歴任。財務部門の経験が豊富で、建設会社アスタルディー(ASTALDI)の経営破綻に伴う清算手続きなども手掛けた。情報筋によれば、同氏は「ベネトンの組織再編および事業再建」を担うことを期待されており、株主総会で新たに選任された取締役会により、正式にCEOに任命されるという。

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