ファッション
特集 アダストリア 第1回 / 全10回

勢いづくアダストリア 強みの“修正力”を生む挑戦する企業カルチャーの作り方

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アダストリアが勢いに乗っている。1400を超える実店舗と、コロナ禍以降急成長した自社EC「ドットエスティ(.ST)」の両輪が相乗効果を発揮し、2024年2月期は大幅な増収増益を達成、過去最高業績を記録した。2000年代〜2010年代前半にかけて、前身のポイントとして郊外ショッピングセンターへの積極出店で成長したが、時を経て“再成長期”に入ったといった指摘もある。この2月には、衣料品不振に苦しむイトーヨーカ堂と組んで新売り場「ファウンドグッド(FOUND GOOD)」を開始するなど、次なる一手にも事欠かない。「好調な今こそ変革を」の掛け声のもと、「小売業からプラットフォーマーへ」の転換を目指している。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月3日号からの抜粋です)

今回アダストリア特集を企画するにあたり、テーマとしたのは“修正力”だ。「アダストリアは“修正力”の会社ですから」─。低空飛行だった新ブランドが上向いたとき、赤字転落から急回復したとき、コロナの苦しみからの復調フェーズなどで、同社幹部がそんなふうに話す場面によく遭遇した。自虐を込めているようで、実はそこにこそプライドがあるといった口ぶり。自虐どころか、猛スピードで状況が変わっていく時代にあっては、素早い“修正力”こそ最高の武器とも言える。実際、24年2月期の好調も“修正力”のたまものだ。アイテム1点ごとに価格を見直し(値上げを実施)、無駄な値引きを抑え、在庫管理を徹底した結果、円安や原料高、暖冬などの逆風を押しのけた。

社内外に変革の歴史をアピール

アダストリアは昨年創業70周年を迎えたが、振り返るとそれは“修正”の歴史だったとも言える。1953年に茨城・水戸で紳士服店として創業し、過去4回の“修正”、つまり時流に合わせたビジネスモデルの変革を経て今がある。紳士服店からメンズカジュアルへ、チェーンストア制導入で多店舗化、そこでしか買えないストアオリジナルブランドの開始、企画・生産機能を内製化し垂直統合型SPAへ。渋谷ヒカリエのアダストリア本社を訪ねると、こうした変革の歴史をポップに伝えるムービーが、社員や取引先が頻繁に出入りするフロアで流れている。また、2月に行った全国店長会でも、福田三千男会長と木村治社長は繰り返し自社の4回の変革を語っていた。

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