ビューティ賢者が
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ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN.com」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。
今週は、日本だけでなく海外でも広がるヘアケアビジネスの話。
矢野貴久子「BeautyTech.jp」編集長 プロフィール
雑誌編集者を経て1999年からデジタルメディアに関わり2017年、アイスタイルで媒体開発に着手。18年2月に美容業界のイノベーションを扱うメディア「BeautyTech.jp」の編集長に就任
2023年はヘアケアブランド「ヨル(YOLU)」が躍進、「アットコスメ ベストコスメアワード2023」で総合大賞を「オルビス(ORBIS)」の“エッセンスインヘアミルク”が受賞し、ヘアケアカテゴリーの注目度が高かった。その勢いは24年に入っても止まらない。ドライシャンプーやカラーシャンプーなどのカテゴリーにも新規参入するブランドが広がっている。
このヘアケア市場拡大トレンドは日本だけでなく、グローバルでも同様だ。ロレアル(L'OREAL)のニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)が「ヘアケアは、新しいスキンケアの位置付けになってきている」として、消費者の興味・関心が、健康で美しい髪のためのヘアケアに積極的に向いていると示唆したのは23年2月のことだ。イエロニムスCEOの言うヘアケアのスキンケア化は、スキニフィケーションとも呼ばれ、24年も欧米では、ユーザーとそのニーズに呼応するブランドがヘアケアに注目する傾向が加速している。
調査会社のモルドール・インテリジェンスによれば、世界のヘアケア市場規模は、24年に905億9000万ドル(約14兆1320億円)と推定され、29年までに3.66%のCAGR(年平均成長率)で成長して1084億3000万ドル(約16兆9150億円)に達するという。この市場拡大の背景として、世界中の消費者が髪の健康志向を強めていることや、シャンプー、コンディショナー、スプレー、オイル、あるいはドライヤーをはじめとするガジェットやツールなど、ヘアケアカテゴリーには多くの商品が含まれ、商品やサービス提供の幅が広いこと、そして、ライフスタイルの変化やストレスレベルの上昇に伴い、抜け毛やフケ、かゆみなど髪と頭皮の悩みを抱える人が増加していることなどを挙げている。こういった、ヘルシーな地肌や髪という観点の23年後半からのグローバルのヘアケアトレンドを3つ紹介したい。
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