フランスのシンガー・ソングライター、フランソワーズ・アルディ(Francoise Hardy)が6月11日に死去した。80歳だった。フレンチ・ポップスを代表する歌手の1人であり、1960年代のスタイルアイコンとしても知られた故人に、フランスのガブリエル・アタル(Gabriel Attal)首相やラシダ・ダティ(Rachida Dati)文化大臣、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)元仏大統領の妻でモデルのカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)らの著名人が、SNSなどで哀悼の意を表している。
アンニュイな魅力で瞬く間にスターに
アルディは、1944年パリ生まれ。62年に自身が手掛けた曲「男の子と女の子(Tous les garcons et les filles)」でデビューし、そのアンニュイな魅力で瞬く間にスターに。当時、流行り始めていたミニスカートをいち早く着用したほか、ジーンズやレザージャケットなどロック風のスタイルも着こなし、ファッションアイコンとしても注目を集めた。イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)やパコ・ラバンヌ(Paco Rabanne)など、さまざまなデザイナーのモデルも務めた。
なお、川久保玲が率いる「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」は“少年のように”という意味だが、69年にブランドを立ち上げた際、アルディの「男の子と女の子」に着想を得て命名したといわれている。
「史上最も偉大な歌手トップ200」にフランス人で唯一ランクイン
アルディは、ミュージシャンのデヴィッド・ボウイ(David Bowie)やボブ・ディラン(Bob Dylan)、ミック・ジャガー(Mick Jagger)のミューズと呼ばれたが、自身も22歳の時点でレコードの売上枚数が1300万枚を突破。俳優としても活躍し、ロジェ・ヴァディム監督による映画「スエーデンの城(Nutty, Naughty Chateau)」やジャン・リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)監督の「男性・女性(Masculine Feminine)」などに出演している。
2004年に悪性リンパ腫と診断されて以来、長らく闘病生活を送っていた。23年には、米「ローリングストーン(ROLLING STONE)」誌が発表した「史上最も偉大な歌手トップ200(The 200 Greatest Singers of All Time)」に、フランス人で唯一選ばれた。