「アレキサンダーワン(ALEXANDERWANG)」はこのほど、2025年プレ・スプリング・コレクションをリニューアルしたばかりのニューヨーク・ソーホー地区の旗艦店で発表した。会場には女優のキム・キャトラル(KIM CATTRALL)やラッパーのアイス・スパイス(ICE SPICE)、ローラらセレブが駆けつた。
インビテーションには「THE GARAGE」の文字。会場壁面には事故で車が店舗に突っ込んだかのように車体の後部が道に突き出ている。解体されたホイールやタイヤなど、車の部品が山積みになり、ヘッドライトやテールランプを集めて作ったシャンデリアが会場内を照らす。床には札束が散乱。ゲスト用の椅子は、詰め物でパンパンにした黒いゴミ袋がクッション代わりに。まるで怪しげなアジトのような雰囲気だ。
コレクションは、フルジップのハイレグボディースーツやベルトを巻きつけたようなタイトなブラなど、ブラックのレザーを主役にしたルックが目立つ。ハイレグショーツやマイクロミニのスカートに合わせたレザーの超ニーハイブーツが存在感を放つ。メンズも同様にレザーを中心にしながらファーを使ったアイテムを差し込むことでシックなスタイルに変化をつけた。挑発的な表情で歩くモデルたちは手に持ったグラスを粉砕したり、札束をバッグの中に詰め込んだり、ガラステーブルを破壊するなど、ブランドらしいエッジを演出した。
新アイコンの“リッコ”バッグも登場
オールレザーのルックに合わせたびたび登場したのは、2010年にヒットした“ロッコ(THE ROCCO)”バッグを、ラップスタッズをあしらい現代的にアレンジした“リッコ(THE RICCO)”バッグ。4月下旬に先行発売した際にはわずか3時間半で世界完売となるなど、新たなアイコンバッグとして支持を集める。“リッコ”バッグに加え、エッジィなスタッズをスパイスに効かせたショルダーバッグやトートバッグ、シューズやベルトなどのアクセサリーも豊富。モデルとして登場したNBAの伝説的プレーヤーデニス・ロッドマン(Dennis Rodman)の頭も無数のスタッズで飾った。
ワンの得意とするデニムは腰履きのジーンズや、クラッシュした風合いのスカート、オーバーサイズのシャツにアレンジした。スポーティーなフーディーやラウンジウエアのようなセットアップは異なる素材を用いることで表情に変化をつけているが、一つ一つのアイテムはすぐに着たくなるようなウェアラブルなものが多い。後半に登場した無数のテープを巻きつけたようなボンデージドレスもワンらしい。タイトなレザー、デニム、スポーティーな要素にランジェリーのディテールなど、ワンが今までブランドのアイコンとして積み上げてきたルーツをたどりながらもアップデートを見せた。
同ブランドは来年設立20周年を迎える。アニバーサリーイヤーに向け、アイコンバッグのローンチやソーホー旗艦店のリニューアル、ニューヨークでのコレクション発表など、マーケティングを一層強化している。今回のコレクションは未来へ向けてアクセルを踏み込んだ印象だ。