香水砂漠と呼ばれている日本のフレグランス市場だが、コロナを機に消費者の香りに対する関心が高まり、気分転換のために香りやホームフレグランスを楽しむ人が増えた。その影響もあり、フレグランス市場が盛り上がっている。以前は一部の人のものだったニッチフレグランスのコーナーが増え、人気店では行列も見られる。富士経済によると、2023年度の日本のフレグランス市場規模は482億円。スキンケア市場と比べるとまだまだ小規模だが、ここ数年は毎年スキンケアの3倍の約10%ずつ伸長している。松屋銀座本店と阪急うめだ本店、渋谷パルコにフレグランス売り場の商況について聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年6月17日号からの抜粋です)
松屋銀座本店
ブランド&コーナー
「シャネル(CHANEL)」「ディオール(DIOR)」「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」「ゲラン(GUERLAIN)」「コスメデコルテ(DECORTE)」「ランコム(LANCOME)」「クラランス(CLARINS)」「ジルスチュアート ビューティ(JILL STUART BEAUTY)」「クリニーク(CLINIQUE)」「シスレー(SISLEY)」「イソップ(AESOP)」「ラトリエ デ パルファム(L'ATELIER DES PARFUMS)」「フレグランス カワべ(KAWABE FRAGRANCE)」「バイレード(BYREDO)」「ディプティック(DIPTYQUE)」「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(OFFICINE UNIVERSELLE BULY)」「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)『レプリカ』フレグランス」「ノーズショップ(NOSE SHOP)」
フレグランスゾーン設置で売り場が活性化
松屋銀座本店は22年に、1階コスメ売り場を改装した。同年に「ディプティック」「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(以下、ビュリー)」、セレクトのノーズショップによるフレグランスゾーンを設置。フレグランスを中心に扱うブランドの売り場は改装前の約2倍になり、コスメ売り場全体の約2割を占める。松屋の荒井みず季ショップMD部化粧品担当バイヤーは、「改装により来店客が若返った。フレグランスゾーンは裏通りに面しているが圧倒的に若い層が多く売り場の活性化につながっている。特に男性客が増えた」と話す。男性客の割合はフレグランスゾーンでは約4割。23年度のフレグランスの売上高は前年比約65%増と好調だ。「コスメは悩み対策が多いが、香水はアミューズメント性が高い商材。洋服を着替えるように楽しむ人が増えている」と同バイヤー。売れ筋の香りは、「ディプティック」の“オルフェオン”や「ディオール」の“ミスディオール”などの各ブランドを代表する香り。一方で、ノーズショップのようなセレクトでは、売れる香りが分散しているという。ブランドの世界観やストーリーに共感してイメージで香りを購入する層もいるようだ。売れ筋の平均価格帯は1万5000〜1万6000円程度で、2〜3割アップした。「フレグランスがライフスタイルに浸透し、消費者の香りに対する欲求が高まった。調香やつけた後の香りの変化、ボトルまで、フレグランスにはいろいろな要素があり、チョコレートのように趣味嗜好で選び、楽しめるアイテムになっている」。
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