ファーストリテイリング(FR)は日本の「ユニクロ」商品の価格を、2015年秋冬物から平均で約1割引き上げる。柳井正・会長兼社長は、「(値上の影響は)ないと思う」と強気の見通しを語る。その背景には、2014年に秋冬物を5%値上げしたにもかかわらず、上期(2014年9月〜2015年2月)の既存店は前年同期比112.1%と、2ケタ増で推移した実績がある。「無印良品」を展開する良品計画も高付加価値アイテムを増やし、今期は平均して商品の価格が3〜5%上がる見通しだ。衣料専門店チェーンが苦戦するなか、両社はともに好調に推移しており、他の企業も追随する可能性は高そうだ。
「ユニクロ」は2015年秋冬物で価格を見直すアイテムは全体の約2割。値上げの理由として、円安によるコストアップと原材料の長期的な上昇トレンド、中国などでの生産コストの上昇の3つを理由に上げる。中でも大きいのが為替で、柳井FR会長兼社長は「為替が80円から120円と大幅に変わった。価格を維持するためには品質を下げる必要があるが、お客さまが服を買うのはバリュー。バリューが認められない限りは売れない」と値上げを決めた理由を語る。
一方で良品計画の金井政明・社長は、「商品を絞り込み戦略商品を作ったこと、また生産地をASEANにシフトしたことで、むしろ調達コストは下がり、利益率が上がっている」「為替は連結では"行って来い"。全体では影響はない」と語る。付加価値の高いアイテムへのシフトによる実質的な単価アップについては「什器改革や販売員の強化など、売場活性化策が効果を上げ、よりいい商品を売れる仕組みが出来てきたから」という。