クラボウの2016年3月期は、売上高が前期比102.2%の1732億円、営業利益が同158.6%の43億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同227.4%の26億円だった。繊維事業の売上高は同97.7%の887億円、営業利益は同146.4%の12億円。中国の景気減速やブラジルの市況低迷、円安による輸入コスト増などが圧迫し、カジュアル衣料品やユニフォームの売り上げが苦戦。一方、ASEANを中心に関連工場を持つ原糸分野や、フィルター向け不織布が好調だった繊維資材分野が順調に推移した。
16年4月から、新たな中期経営計画を始動。10年に始動した第1ステージ、13年から15年の第2ステージを経た、最終ステージの概要を発表した。「第2ステージでは海外戦略に重点を置いた。中国の失速や為替変動への対応が遅れるなど、物足りない結果ではあったものの、不採算事業の整理を徹底し、組織を再構築できた」と藤田晴哉・社長。「素材に付加価値をつけるべく二次加工の技術開発を進める。技術革新と同時に新たなビジネスモデルを進め、高収益な事業体制の構築を急ぐ」と説明した。計画に投じる設備投資費は160億円。新規事業を促す技術研究所「クラボウ先進技術センター」も2月に竣工した。2019年度の売上高2000億円、営業利益100億円の業績目標を掲げている。
今期の連結業績予想は、繊維事業の不採算事業撤退を見込み、売上高が同95.2%の1650億円、営業利益が同103.5%の45億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同115%の30億円を計画する。