ニット機械最大手、島精機製作所の2015年3月期連結業績は、売上高が前期比119.0%の483億5400万円だった。売上高の8割以上が海外の同社は、ASEANを中心とした新興国での設備投資が追い風になって、大幅増収を達成した。旧式の横編機からの切り替えを急ぐバングラデシュをはじめ、ASEANでファストファッションブランドの短納期の要望に応える高速横編機への設備投資が相次いだ。また中国でも国内で急増する中間層に向けた高付加価値商品を提供するため、最新鋭の編機への移行が進んだ。英国ではジョンスメドレーなどの老舗企業、スペインでは「ザラ」のインディテックスなど大手SPA(製造小売り)が国内工場への投資を増やした。旺盛な需要に円安による販売価格の上昇が加わり、粗利益率は同2.8ポイントも跳ね上がり、営業利益は同2.1倍の57億4500万円になった。しかし、大量の編機を納入したインドネシアの工場の破たんによる貸倒引当金約12億円を特別損失に計上したため、純利益は同75.0%の36億4500万円に終わった。
今期(16年3月期)は売上高510億円(前期比105.5%)、営業利益70億円(同121.8%)、純利益50億円(同137.1%)を予想する。中国やASEANを中心に引き続き高品質やスピードを重視した横編機への転換が進むとみる。