今年は、ラグジュアリー界の巨人同士の争いが、ついに法廷でのガチンコ勝負に発展することとなった。LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトンが10年10月に突如、エルメス・インターナショナルの株式17.1%(現在22.3%を保有)を取得したのは周知の通り。LVMH のベルナール・アルノー社長兼最高経営責任者(CEO・写真)は、「エルメスのコントロール権を狙っているのではない。友好的株主に徹する」と言明したが、エルメス側は一貫して、「敵対的とみなす。即刻手を引いてもらいたい」と“絶対拒否”の構え。13年には創業者一族のアクセル・デュマ最高執行責任者(COO)が共同CEO に就く予定で、一族の結束を強め、第6世代への経営体制移行を着々と進める意向。
パトリック・トマCEO は少なくとも13年末まで現職に留まる。そしてエルメスは今年9月4日に、「LVMH による(エルメス)株式取得について、7月10日にパリの法廷に起訴した」と発表。それを聞いたLVMH はその日のうちに、「エルメスを名誉毀損、脅迫、不当な競争で訴える」と発表した。「同じ業界にいる企業を不当に批判するなんて絶対に許せない」とこちらもカンカンだ。なお、エルメスは中国での、現地アパレルメーカーとの商標登録バトルで一敗地にまみれている。
最後に今秋降って湧いた(?)のは、トリー・バーチVS 前夫クリスの“元仲良しカップル”対決。まず10月にクリスが、彼のビジネスに対する妨害や契約違反でトリーを訴えた。そして11月にはトリーが、彼を契約不履行などで訴え、泥沼の元夫婦喧嘩に突入。両者の確執の鍵は、2人がそれぞれトリー バーチ社の株式28.3%を保有しているということ。トリーによると、クリスが展開する「C・ワンダー」が、「トリー バーチ」に酷似しているのも我慢できないようだ。