2025年春夏コレクションサーキットが開幕しました。イタリア・フィレンツェからミラノ、パリまで続くメンズからスタートです。「WWDJAPAN」は現地で連日ほぼ丸一日取材をし、コレクションの情報はもちろん、現場のリアルな空気感をお伝えします。担当は、大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリ、そして藪野淳・欧州通信員の“浪速トリオ”。愛をもって、さまざまなブランドをレビューします。(この記事は無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
15:00 「バウルズ」
メンズ・ファッション・ウイークの舞台は、いよいよ強豪ぞろいのパリへと移ります。現地に到着すると、日本のメディア関係者やファッション系のフリーランスの方々が急増。アフターコロナから徐々に増え始めてはいましたが、今シーズン本格的に戻ったなという印象です。ミラノでの全力取材を終えてパリ入りした“浪速トリオ”も、そんなフレッシュな面々に負けてはいられません。
最初に訪れたのは、日本発「バウルズ(VOWELS)」のプレゼンテーション会場です。同ブランドは5月にデビューしたばかりで、初のフルコレクション約40型をパリで披露するという大勝負に出ました。パリ・メンズの公式スケジュールではありませんが、その気合は会場の立て込みからも伝わってきます。春夏秋冬をイメージした4つのスペースを設け、モデルたちは裏から定期的に登場すると、その春夏秋冬をアントニオ・ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi)の“四季”をリミックスしたBGMに合わせて渡り歩きます。意図については、八木佑樹クリエイティブ・ディレクターが「今は季節なんてあまり関係ないから」と即答してくれました。
コレクションは、シンプルなパーマネントアイテムに徹した第1弾に対し、色や柄、生地のバリエーションも拡充して、世界観の片鱗をアピールします。ストリートウエアを軸に、日本製の高品質な素材と技術で、洗練された日常着を提案しました。ジーンズに施したパッチワークは、日本のビンテージショップオーナーと共同作業したもの。またブランドロゴをモチーフにしたフラワーは、日本のアンティークプリントやテキスタイルに着想した柄で、「ほかにないから」と即答。何でも即答の経験豊富な八木クリエイティブ・ディレクターが、世界基準の柔らかい感性で捉えた“日本らしさ”を、日本らしく丁寧にアウトプットしたコレクションという印象でした。強烈なインパクトを残すには“日本らしさ”をさらに研ぎ澄ませていく必要はありそうですが、ここまでの資金力やネットワークの広さを感じさせる新ブランドはなかなかありません。スタートダッシュが成功したのかをまた聞きたいと思います。
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