「バーバリー」の新フレグランス“ゴッデス”が成長要因
カテゴリー別に見ると、プレステージ部門の売上高は同8%増、コンシューマープロダクト部門は同6%増、プレステージフレグランス部門は同7%増となった。プレステージフレグランス部門では、大型ローンチにより昨年の第2四半期に売り上げ新記録を樹立した「バーバリー」の新フレグランス“ゴッデス”が引き続き主要な成長要因となった。他商品も好調だったことから、同ブランドの今期の総売上高は同50%増を達成した。そのほか好調だったのは「マーク ジェイコブス」の“デイジー ワイルド”と「カイリー コスメティクス(KYLIE COSMETICS)」の“コスミック カイリー ジェンナー”。両商品は当年度米国で発売されたフレグランスのトップ2を占めるという。
新自社ブランドは英百貨店で同社No.1売り上げ
スー・ナビ(Sue Nabi)最高経営責任者(CEO)は、「米国のフレグランス市場は、誰もが減速すると予想していたにもかかわらず、今も伸び続けている」と述べる。同社は今年創業120周年を迎え、2月には自社で高級ニッチフレグランスブランド「インフィニメント コティ パリ(INFINIMENT COTY PARIS)」をローンチした。14種類の香りをラインアップした同ブランドについてナビCEOは、「好調なスタートを切っている。D2C(ダイレクト トゥ コンシューマー)の売れ行きは予測を3倍ほど上回る。(英老舗百貨店の)リバティ ロンドン(LIBERTY LONDON)の旗艦店では、ニッチフレグランスフロアの中でNo.1の売り上げを記録した。これは高級フレグランスラインを自作することの意義を示している」と自信を見せる。
現在ハイパーニッチもしくは、ハイパープレステージフレグランスの市場の売り上げは約40億ドル(約6360億円)で、400億ドル(約6兆3600億円)規模とされる全世界のプレステージフレグランス市場の10%を占めている。急速に成長しているが、同社の該当商品は「グッチ」の“ザ アルケミスト ガーデン”など全体のわずか1%未満だった。今後は「インフィニメント コティ パリ」を同社の象徴的な主要ブランドに育成していく考えだ。
「マルニ」「エトロ」とのライセンス契約、
「マーク ジェイコブス」の新ラインで勢い付く
ライセンスに関しては、「マルニ(MARNI)」や「エトロ(ETRO)」との契約締結や、アパレルブランド「メックス(MEXX)」や「ブルーノ・バナーニ(BRUNO BANANI)」との契約更新などを発表している。今年2月にロレアル(L'OREAL)とビューティライセンスを締結したプラダ グループ傘下の「ミュウミュウ(MIU MIU)」とは、ライセンス契約を終了した。
その他にはプレステージコスメティクス部門が好調だった。「バーバリー」「カイリー コスメティクス」「グッチ」の3ブランドがけん引し、売上高は同25%増となった。さらにフレグランスライセンスを約20年間保有する「マーク ジェイコブス」とは、新たにビューティラインの開発を手掛けており、2〜3年後とみられる発売にも期待がかかる。
コンシューマープロダクト部門では、世界的にマス向けフレグランス、スキンケア、ボディケア、マス向けカラーコスメティクスカテゴリーが好調だったことで、米国で低迷しているマス向けカラーコスメティクスの不調を相殺した。
24年通期の売上高については以前予測した同9~11%の成長の上限になると予測している。