PROFILE: (左)桑村真波/NARSコンプレックス/スキンケア新商品企画開発部ヴァイスプレジデント (右)山中美樹/資生堂ジャパン ナーズ ブランドマネージャー
資生堂のブランドポートフォリオの中で、全ての地域でグローバル最重点育成ブランドとして定められている「ナーズ(NARS)」の躍進が止まらない。2021年から3期連続で2ケタ成長を達成し、23年度は「シセイドウ(SHISEIDO)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BAAUTE)」に次ぐ、売上高1000億円を突破した3つ目のブランドとなった。
継続して好調を支えるのは、“リフ粉”の愛称で親しまれている“ライトリフレクティングセッティングパウダー”を筆頭に、話題性を兼ね備えた商品力の高いラインアップと、創業当時からブレない“哲学”にある。そこで、「ナーズ」の国内市場を管轄する資生堂ジャパンの山中美樹ナーズ ジャパン ブランドマネージャーと、創設者でありクリエイティブディレクターのフランソワ・ナーズ(Francois Nars)のもとで商品開発を手がける桑村真波 NARSコンプレックス/スキンケア新商品企画開発部ヴァイスプレジデントに、ブランド誕生30周年を迎える「ナーズ」の好調理由とモノ作りの考え方を聞いた。
WWD:グローバル全体で好調であるが、日本事業の商況は。
山中美樹ナーズ ジャパン ブランドマネージャー(以下、山中):国内も好調に推移する。23年度は、パウダーカテゴリーの売り上げが前年の1.5倍と成長し、全体をけん引した。ブランドを象徴する“ライトリフレクティングセッティングパウダー プレスト N”が根強い支持を集めているほか、昨年数量限定で発売したマーブルタイプの限定カラー“ライトリフレクティング プリズマティックパウダー”もヒットした。
WWD:フェイスパウダーはコロナ禍でニーズが高まったが、今もなおパウダー類の需要が継続しているのはなぜか。
山中:マスク着用時はムレやメイク崩れの対策として支持されていた。脱マスクになってからは人に顔を見られるようになり、テカリなど別の悩みが生まれ、マスク時代が過ぎてからも需要が続いていると捉えている。昨年新たに仲間入りした、透明感を兼ね備えたマットな仕上がりが続く“ソフトマット アドバンスト パーフェクティングパウダー”の登場も、パウダーカテゴリーの成長を後押しした。艶肌を演出する既存の“ライトリフレクティングセッティングパウダー プレスト N”とともに、艶とマットの双方でそろえたことが奏功した。
WWD:パウダー以外のカテゴリーも話題を集める商品が多い。
山中:マスクが外れたことも追い風となり、チークは前年比120%増、リップは同35%増とカラーメイクも好調に推移した。中でも、リップとリキッドチークをラインアップした“アフターグロー”コレクションは、これまでのモードな印象が強いビジュアルとは一味違う、スイートなテイストのビジュアルを打ち出したところ、新規客獲得に寄与。同コレクションのリップは、リップクリーム感覚でさまざまな色を楽しめるという声があり、特にZ世代の心をつかんだ。
WWD:1~3月の商況も同20%増と継続して好調だ。
山中:“アフターグロー”コレクションが多くの媒体でベスコスを受賞したことも好調の一因となった。さらに、同コレクションに新色を追加したことも貢献し、リップは前年同期比50%増、チークは同250%増で着地した。同コレクションをエントリーアイテムに、フェイスパウダーやファンデーションの購入へと広がっている。パウダーカテゴリーも引き続き好調で、同24%と伸張した。
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