従業員が架空の買い取りをした疑いがあるとして、古本買い取りチェーンの「ブックオフ(BOOKOFF)」がきのう27日から400以上の直営店舗を一時閉店し、調査にあたっている。
報道によると、同社の複数店舗において従業員が架空の買い取りと在庫の不適切計上により、現金を不正に取得した可能性があるという。楽器やパソコン、オーディオなどを取り扱う「ハードオフ(HARD OFF)」でも、北海道の店舗で3200万円相当の所在が不明となり、店長が失踪。因果関係を調べている。
「架空の買い取り」の手口としては、架空の顧客・買い取り商品の電子情報を計上し、「買い取り代金」を客に渡したと見せかけ、自分の懐に入れるというもの。
架空の買い取りは、古着やブランド品の買い取りチェーンでも発生しうる。ブランド古着やバッグの場合は買い取り単価も大きく、架空の買い取りが発生すれば被害額も膨らむ。各社の対策はどうなのか。
セカスト、なんぼや、ラグタグ
過去には発生事案も
国内844店舗を展開するゲオホールディングスの「セカンドストリート(2ND STREET)」は、過去に内部不正調査で架空の買い取りが発覚したことがあるが、「全ての事案に関して適切な対処を完了している」(ゲオHD広報)という。当該従業員の処分については「グループの行動基準に従い、厳粛な対処を行った」としている。予防策として、「内部監査による社内取引情報の確認と合わせ、決済システムによる不正行為が発生しないよう店舗オペレーションを更新している」。
ブランド品などの買い取り専門店「なんぼや」を運営するバリュエンスホールディングスも同様に、「これまで小規模ではあるが、不正事案が発生した事実はある」(バリュエンスHD広報)。接客を録画し、社内の専門チームが商談内容を都度チェックすることで、架空取引を含めた不正の発生を防いでいる。
ワールド傘下ティンパンアレイの「ラグタグ(RAGTAG)」は、倉庫一括の在庫管理システムで架空の買い取りを防止している。
「全店舗の買い取り仕入品は、そのまま売り場に出さず、一度倉庫に集約して在庫確認している。買い取りデータと倉庫の在庫を照合し、商品の実在を確認して整合性をとっている」(ワールド広報)。つまり、万が一従業員が架空の買い取りを試みたとしても、倉庫で買い取り品がないと分かれば、すぐにバレてしまうというわけだ。
【エディターズ・チェック】
これまでブランド品買取のリスク対策は「品物」に比重が置かれ、各社は真贋鑑定に力を入れてきた。ただ、今回のブックオフの事案により、それを扱う「人」にも疑わなくてはならないリスクがあることが浮き彫りになった。もちろん従業員のほとんどは清廉潔白だろうが、買い取り店はしっかりと対策を講じておくべきだろう。