世界中で頻発するさまざまな対立による分断や、SNSなどのインターネットで発信される偏った情報など、混沌とした社会に対して、デザイナーたちはクリエイションで自らの意思を示す。トロンプルイユのトリックで既成概念に対する疑問を投げかけ、サッカーや民族の要素を分かりやすく取り入れて、世界に団結を呼びかける。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月8日号からの抜粋です)
KEYWORD 03:
Doubt Common Sense
「プラダ(PRADA)」
見るものをあざむく
だまし絵のアイデア
近づくことでハッキリと見えてくるデザインの仕掛けが楽しいコレクション。象徴的なのは、トロンプルイユ(だまし絵)のアイデアだ。例えば、パンツに見られた厚手のツイードは実はプリントだったり、ベルトは忠実に再現したパーツをパンツに接着していたり。ニットのレイヤードに見えるものは全て1枚のセーターで、ポロ襟のデザインも編みで平面的に作っている。また、ミリタリー調のアウターやシャツの袖口や襟にはワイヤーを入れて、クシャクシャに。テーラードアイテムにはシワ加工を施して、生きた感覚をもたらしている。上は着丈や袖が短くコンパクト、下はルーズといった新たなプロポーションバランスと、鮮やかなアクセントカラーで、自由な精神や若々しい楽観主義を表現した。
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