ファッション
特集 多様化する登山市場2024 第5回 / 全6回

上出遼平が同級生と山ブランドを始めた理由 「山とパンクは近い」

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山の楽しみ方が多様化する中で、他で見たことのない山のファッションやギアを求める声も増えている。ここでは、尖った提案やユニークな視点で登山好きからもそれ以外からも注目を集めている、「山岳制服振興会」「山荘 飯島」を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2024年7月15日号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)

テレビ東京で「ハイパーハードボイルドグルメリポート」をヒットさせ、現在はフリーの映像ディレクター、作家として活躍している上出遼平がかなりの山好きだというのは、同じく山好きの間ではよく知られた話。自身初の小説「歩山録」は奥多摩からの長距離ハイクを舞台にしており、俳優の仲野太賀がアラスカのトレイルを歩くドキュメンタリーも撮っている。そんな上出はこの春、中高時代の同級生と「山岳制服振興会」というブランドも立ち上げた。

“山岳”と掲げてはいるが、ビジュアルに起用しているのは気合いの入ったパンクスたちで、山とはなかなかイメージがつながらない。上出と一緒にブランドを手掛けているのは、柴田悠平、鈴木茂夫の2人。「悠平は高校時代に組んでいたパンクバンドのメンバーで、茂夫も違うバンドにいた顔見知り」と上出。そんな3人が時を経て偶然再会したら、3人とも登山、中でもウルトラライトハイキング(以下、UL)にはまっていたのだという。

「あの頃のメンバーでモノ作りがしたい。山道具でもう一度ユナイトできるなら面白いし、今がそのタイミングだとピンときた」。上出がそう考えたのは、現在拠点にしているニューヨークで出会った若いスケーターたちの影響も大きい。「友達同士で立ち上げたブランドで店を構えていて、好きなものだけを作って本当に楽しそうにやっている。応援してくれる人にも恵まれている。日本ではなかなかそういう動きはないが、自分たちもそんなノリでブランドを立ち上げてもいいよなと思った」。

一見奇想天外、でもリアル

ブランドとしてまず形にしたのは、パンクスが腰に巻くバムフラップのような“山岳ケツ当て”(3万800円)だ。素材こそULブランドで大人気の「ダイニーマ(DYNEEMA)」を使っているが、山ではほぼ見かけないアイテム。「山ではとにかく休みたいが、その度にバックパックを下ろすのも、敷物を取り出すのも面倒。濡れた地面に腰を下ろせば服も濡れる。でも“ケツ当て”を付けていればどこでもすぐに座ることができて、濡れることもない」。内側には小物を入れることもでき、フリース張りのためカメラを入れても安心。さらに、裏返して着替えなどを詰めれば、枕代わりにもなる。奇想天外なようで、自分たちが山を歩いてきて感じた「こうだったらいいのに」が詰まっている。

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