PROFILE: ミズキ・ゴルツ/「ミズキ」創業者兼デザイナー
ニューヨーク発ジュエリーブランド「ミズキ(MIZUKI)」の創業者兼デザイナーであるミズキ・ゴルツが「ロンハーマン(RON HERMAN)」のポップアップショップ開催のために来日した。同ブランドは、彼女が夫と1996年に設立。パールを中心にした繊細なデザインのジュエリーは世界中で愛されている。日本では、「ロンハーマン」をはじめ、「エストネーション(ESTNATION)」「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」などのセレクトショップを中心に販売。2024年秋冬シーズンからは、「ロンハーマン」を展開するリトルリーグが独占販売権を取得した。来日したゴルツにクリエイションやビジネスについて聞いた。
温かみのあるモダンなジュエリーを提供
WWD:ジュエリーブランドを立ち上げたきっかけは?
ミズキ・ゴルツ「ミズキ」創業者兼デザイナー(以下、ゴルツ):ニューヨークの芸術大学のスクール・オブ・ビジュアルアーツで彫刻を専攻した。ファッションにも興味があったので、卒業後にグラスビーズでネックレスを作って街中でつけていたら、「誰がデザインしたのか。欲しい」と言われて20ドル(約3200円)で販売した。それで、小さな彫刻をファインジュエリーにできるかもしれないと考えた。
WWD:ブランドのコンセプトは?
ゴルツ:ファッションとファインジュエリーの融合。モダンなジュエリーは冷たいと感じることもあるけど、自然素材のパールを使用した美しくモダンで温かみのあるジュエリーを提供したい。重ね付けできるデザインがポイントだ。
WWD:デザインのこだわりは?
ゴルツ:アートを学んだので、インスピレーションに頼らなくても、クリエイションのベースがあり、直感や感性がある。パールを通してさまざまなストーリーや感情を伝えることができると思う。
一つ一つ違う美しさを持つパールは女性を象徴する素材
WWD:パールにフォーカスする理由は?他のパールのジュエリーブランドとの差別化は?
ゴルツ:パールはまるで女性を代弁するかのような素材。自然の恵みであり、宝石の女王だ。女性はみんな違うようにパールも一つ一つ違って、それぞれ違う自然の美しさがある。女性を体現する最高のジュエリーだと思う。「ミキモト(MIKIMOTO)」や「タサキ(TASAKI)」は素晴らしいジュエリーブランド。最高に美しいパールジュエリーを提供しているし、モダンなデザインで若い消費者にもアピールしている。「ミズキ」では、常にモダンなデザインのパールジュエリーを提供してきた。私は10歳まで日本で育ち、その後ニューヨークへ移住した。日本とアメリカという全く異なる文化を体験し、吸収した。クリエイションにおいては半分日本、半分ニューヨークの感性を融合している。ジュエリーの大きさやプロポーションの好みは市場によって異なるが、私は、25年間いろいろな経験をしてきたので、直感を信じて躊躇せずクリエイションできる。ゴールド、シルバーなどさまざまな金属やグラス、色石、ダイヤモンド、パールなどさまざまな素材を使用してきたが、一番しっくりくるのがパール。パールを使用して、モダンな女性が着けたいと思うジュエリーを作りたい。
WWD:アコヤ真珠の希少性が高まっているが?真珠の調達はどのように行っている?
ゴルツ:パールの調達は難しくなっている。ダイヤモンドやゴールドの価格も高騰している。だから、デザインで工夫をするしかない。滝のようなデザインにするには、さまざまなサイズのパールを調達することが大切。最近では、淡水パールの品質も上がってきていると思う。
360度どこから見ても美しく誰にでも寄り添うデザイン
WWD:ターゲットは?
ゴルツ:働く女性が自分のために購入するケースが多い。ギフト需要もある。モダンなパールジュエリーや特別なデザインを探している人が多い。だから、既に彼女たちが持っているパールジュエリーとは違うファッショナブルで個性的なデザインを提要している。「ミズキ」のデザインとクオリティーを信頼してくれている顧客から支持されている。
WWD:ベストセラーとその理由は?
ゴルツ:クラシックな“シー・オブ・ビューティ”シリーズや“バナナ・フープ”、“Yネックレス”などさまざま。着ける人全てに似合う体と思う。着ける人に寄り添うデザインを心がけているから、自然に馴染む。アートを学んだのでどの角度から見ても美しいプロポーションを計算してデザインしている。
WWD:現在何カ国、何店舗で販売しているか?
ゴルツ:アメリカ、イギリス、ポーランド、ルーマニア、ドバイ、レバノン、トルコ、アジア各国などで約50店舗。
WWD:日本におけるディストリビューターに「ロンハーマン」を展開するリトルリーグを選んだ理由は?
ゴルツ:「ロンハーマン」は、アメリカのセレクトショップの文化を日本に導入して融合させた最初の店舗。だから、日本とアメリカで育った私の感性に近いと感じる。長年一緒に取り組んできたので、自然な選択だった。今後、さらに日本でのビジネスに注力して広げていきたい。さまざまな国にジュエリーを通して新しい経験を提供したい。中東などの新しい市場について学びながら、好まれるデザインを提供していきたい。