ドナルド・トランプ(Donald Trump)が次期米国大統領に就任する可能性が出てきたことで、アメリカに輸入される多くのフットウエアの製造元・中国との国際貿易に変化が起きると示唆されている。トランプは「11月の大統領選で勝利したら、中国からの輸入品全てに60%、他の国からの輸入品には10%の関税をかけるかもしれない」と発言している。
フットウエアの価格上昇によって関税を支払うのは消費者だ。約500社のフットウエア会社を代表する米国靴業界団体のフットウエア・ディストリビューターズ・アンド・リテーラーズ・オブ・アメリカ(Footwear Distributors and Retailers of America)のマット・プリースト(Matt Priest)会長兼最高経営責任者によれば、フットウエア業界では年収10万ドル(7月22日時点で約1570万円)以下の世帯の購買力が低迷しているという。「このような世帯は新学期に向けて靴を購入することさえ躊躇っている。靴は生活に不可欠な物だからこそ、経済全体の健全性のバロメーターのようなものである」と語る。
現状、アメリカで販売されるフットウエアの99%は主に中国、ベトナム、インドネシアから輸入されている。アメリカでは年間25億足のフットウエアを輸入しており、年間40億ドル(約6240億円)の関税を支払っていることになる。プリーストは「フットウエア産業は“国内生産の減少を関税で維持することができなかった”というわかりやすい見本だ」と続ける。その上で、「私達は業界としてどのように関税のシナリオを誘導するのがベストなのか、参考になる過去実績を持っている」と語り、もしトランプが選挙で勝利したら中国製フットウエアの関税引き下げを働きかけると言う。
トランプは米国大統領を務めていた2018〜19年にも対中関税の引き上げを数回にわたって実施し、衣料品、靴、ハンドバッグ、小売業界に大きな影響を与えた。