ファーストリテイリング(FR)は香港での上場を27日開催の取締役会で決定した。上場予定日は3月5日。香港証券取引所メインボード市場へのHDR(香港預託証券:預託機関が預託されたFRの元株式を裏付けとして香港で発行する証券のこと)上場となる。引き続き東京証券取引所をメイン市場とし、香港はセカンダリー上場となる。上場の目的について、FRは「�@成長著しい中華圏および東南アジア地域において、FR、ユニクロおよびグループブランドの認知度を向上し、同地域での存在感を高めていくこと、�A事業成長に伴い、グローバルに投資家層を拡大していくこと、�Bグローバル企業として、財務内容や経営状況の透明性を高め、経営の質を向上していくこと」と説明する。会見を行なった岡�ア健グループ上席執行役員CFOは、香港での上場について以前から考えてきたが、昨年の早い時期から本格的に検討してきたと明かす。また、他の地域での上場についても、「可能性はあると思う。知名度向上ということもあるし、グローバル企業ということで、いろいろな経営体制が執れるようになる」と話す。
ファーストリテイリングの中核企業であるユニクロの店舗数は2013年11月末で国内865店舗に対して、海外が512店舗、うち、中華圏が312店舗(中国大陸251店舗、香港19店舗、台湾42店舗)となっている。昨年も中華圏には約100店舗を出店し、2013年度の売上高は1250億円、営業利益は135億円に達するなど、日本を大きく上回る出店や増収を達成している。また、東南アジアでもシンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシアに出店し、店舗数が50店舗を超えている。今回香港に上場したのは、中華圏のみならず、東南アジアを視野に入れて、認知度の向上や存在感を高めたいという意向が働いたため。
加えて昨年、「グローバル化、グループ化、再ベンチャー化」を掲げてきた同社だが、今年は、世界中で採用して世界中の本部で経営して商売をする「グローバル化」をより浸透させる「本当の意味でのグローバル化元年」と位置付けている。同時に、地域に根差してコミットメントしていくための「ローカル化」もキーワードに掲げている。香港HDR上場で、成長著しい中華圏・東南アジアを中心に、グローバル化・ローカル化の両面を深耕することになる。