サロンモデルとは、ヘアサロンがヘアスタイルを打ち出すための作品撮りを行なう際にお願いするモデルのこと。自店の顧客にお願いするケースや、主にアシスタントが街頭に立ち、道行く女性の中から適任者を見つけて声を掛ける“モデルハント”によるケースなど、誕生する経緯はさまざま。ここでは、業界を代表する人気サロンの“サロンモデル活用術”を紹介する。
「サロンモデル」というと、「なんとなくはわかるが“読者モデル”との違いがわからない」という人が多い。アフロート(AFLOAT)の前原穂高・デザイニングディレクターは「ヘアサロンが、ヘアスタイルを表現するためにお願いするのがサロンモデル。ファッション誌の編集部が、読者の代表として選んだのが読者モデル」と説明。アリーズヘアー(allys hair)のNOBU・プロデューサーは「ヘアカタログや雑誌のヘアページに登場するのがサロンモデル、ファッションページに登場するのが読者モデル」と定義している。ブログやフェイスブックなどのSNSで情報発信しているのが読者モデルというイメージがあるが、最近では読者モデル以上にSNSを活用し、多くのフォロワー数を持つサロンモデルも多い。
サロンモデルを使ってシューティングした作品は、サロンのホームページなどに掲載される。そうして打ち出したイメージこそがブランディングであり、プロモデルよりサロンユーザーに近いモデルが体現することで、サロンユーザーの「私もこうなりたい」という思いを刺激することができる。また最近では、フェイスブックやインスタグラムで作品を発表し、自身のブランディングを行なっているスタイリストも多い。特にインスタグラムは、写真を活用したコミュニケーションが特徴。使い方も簡単なので、忙しい美容師向きのSNSともいえる。サロンの予約が、電話予約からネット予約へと大きく移行した昨今、そうしたスタイリスト個人のSNSを介した予約も少なくない。リクルート ライフスタイルの野嶋朗・事業創造部 ビューティ総研 センター長が「今はヘアスタイルだけでの差別化は難しい。モデルも含めて、写真全体が醸し出す雰囲気で勝負すべき」と話すように、SNSに載せる作品で見られているのは「こんな感じになりたい」と思えるかどうか。そのためにも、いかに女性に憧れられる顔や雰囲気を持ったサロンモデルを起用できるかが重要で、“サロンモデル獲得競争”は激化していきそうだ。