ファッション業界は移り変わりが激しく、ブームを迎えたブランドが反動に苦しむケースも少なくない。しかし今は、低迷や停滞期を経て人気が再燃したり、ブームが落ち着いた後の再加速に成功したりのケースが散見される。さまざまな人気再燃ブランドを取材した。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月5&12日合併号からの抜粋で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
振り切ったクラブイベントが
コロナで沈んだZ世代の心をつかむ
「ディーゼル(DIESEL)」は、2000年代前半のプレミアムデニムブームにおけるシンボリックな存在として急成長して以来、日本は世界一の市場だ。とはいえブームが終息して多くのデニムブランドが市場から姿を消した中では、「ディーゼル」さえ若い世代の獲得は容易ではなく、ブランドは当初の顧客と共に高齢化。そこにコロナ禍がやってきた。ナンバーワン市場ゆえ、抱えるスタッフは1000人以上。高實康誠ディーゼル ジャパン最高経営責任者(CEO)は、「店舗売り上げが大きく下がり、守っていても仕方がないと思った」と一番キツかった当時を振り返る。
そんな最中、クリエイティブ・ディレクターに就任(20年10月)したグレン・マーティンス(Glenn Martens)が彗星のごとく現れた。ジャパン社は22年6月、グレンによる22-23年秋冬コレクションのお披露目イベントを盛大に開催。「守っていても仕方ない」と覚悟を決めていた高實CEOは、「グレンが従来から手掛ける『Y/プロジェクト(Y/PROJECT)』は、ファッション専門学校生にこそ人気だったが、当時はまだまだ小さな規模。そんな彼が『ディーゼル』のトップに就いたことについてはネガティブな意見もあったが、業績が下振れしていたときだからこそ、振り切って、ファッションショーも、招待したお客さまも180度変えた」。コロナがなくて、売り上げもなんとかキープできていたら、「結局、どっちつかずになっていたかもしれなかった」という。
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