PROFILE: ユーグ・ボネ・マザンベール=リモワ最高経営責任者
「リモワ(RIMOWA)」といえば、“グルーヴ(溝)”デザインが特徴的な、アルミニウム製のスーツケースを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。1898年にドイツ・ケルンで誕生した同ブランドは、機能的で、洗練されたデザインのスーツケースを主力として業績を伸ばし、2017年には多数のラグジュアリーブランドを擁するLVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の傘下となった。近年は、日常使いのバッグやバックパックなど新たな分野にも進出し、好評を博している。21年1月からリモワを率いるユーグ・ボネ・マザンベール(Hugues Bonnet-Masimbert)最高経営責任者(CEO)に、ブランドの哲学や“らしさ”を形作るもの、数十年先を見据えた事業戦略などについて聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2024年8月5&12日合併号からの抜粋です)
WWD:LVMHはブランド別での業績を開示していないが、2023年12月期の決算発表では、好調なブランドの一つとして「リモワ」が挙げられている。ここ数年の売上高や売れ筋などについて、可能な範囲で教えてほしい。
ユーグ・ボネ・マザンベール=リモワCEO(以下、ボネ・マザンベール):数字は開示できないが、22年から24年にかけて力強く成長している。“モビリティー(機動性)”というコンセプトの、より日常的な移動に着目した柔らかな素材のバッグなど、新たなカテゴリーも好調だ。しかし、やはりスーツケースが業績をけん引しており、アイコニックなアルミニウム製の“オリジナル(Original)”、アルミニウムとレザーのコンビネーションが美しい“クラシック(Classic)”、そしてカラフルさも兼ね備えたポリカーボネート製の“エッセンシャル(Essential)”の3つのコレクションが引き続き人気となっている。
「リモワ」は、ラゲージ業界では珍しくスーツケースなどを100%自社で製造しているため、旺盛な需要に追いつけないぐらいだ。アルミニウム製のスーツケースは創業地のケルンやカナダのケンブリッジで、ポリカーボネート製のものはチェコ共和国にある工場で製造しているが、「リモワ」は非常にドイツらしいブランドで、高い品質や厳密性へのこだわりといったドイツメーカーの精神があらゆる商品に脈々と息づいている。
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