ミシュラン3つ星シェフ小林圭による「ケイ・コレクション・パリ」では、食材にこだわり和のアレンジを効かせたフレンチを提供
ミシュラン3つ星シェフの小林圭によるグリル ガストロノミーレストラン「ケイ・コレクション・パリ(KEI COLLECTION PARIS)」(以下、ケイ・コレクション)は、“大人の遊び場”がコンセプトのカジュアルにフレンチを楽しめるレストランだ。昨年オープンした虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの“トウキョウ ノード(TOKYO NODE)”49階にあり、ルーフトップバーを併設。東京を一面に見渡すレストラン内は開放感たっぷりで、週末はほぼ満席だ。
開放感溢れる「ケイ・コレクション・パリ」の店内
カウンター席もあり、気軽にフレンチを楽しめる
オープンキッチンでは、多くのスタッフが素材の味を活かした料理を手掛けている
フレンチというと、数万円するコース料理を想像するが、「ケイ・コレクション」は、ア・ラ・カルトで1皿数千円から気軽に楽しめるフレンチを提供。小林シェフは、パリの自身のレストラン「レストラン・ケイ」で2020年のフランス版ミシュランガイドのフレンチジャンルでアジア人初の3つ星を獲得した。3つ星シェフが手掛けるカジュアルなフレンチについて紹介する。
和とフレンチの融合、季節感を感じさせる軽やかさ
見た目も美しいスイカのコンフィチュールとフォアグラの前菜
シソシロップを使用したシャンパンカクテル
前菜の藁で香り付けしたカツオのフロマージュフレ添え
ウェルカムドリンクは、シソシロップを使用したシャンパンカクテル。鮮やかな色とさっぱりと色合いは清涼感たっぷりだ。前菜は、藁の香り付けをした鹿児島産のカツオ。カツオのタタキ風の料理に添えられているのは、フレンチらしくフロマージュフレ(塩分ゼロのフレッシュタイプのチーズ)だ。通常、フロマージュフレはジャムと一緒にパンに付けたり、デザートに使用したりといったイメージが強いが、生魚にも意外と合う。スモーキーなカツオの香りとクリーミーでまろやかなフロマージュフレが融合し、さっぱりかつコクのある味わいに。次の前菜は、フォアグラのモナカ。赤い小花が添えられている中身は、夏らしいスイカのコンフィチュール(ジャム)だ。リッチなフォアグラとコンフィチュールの相性はいいが、みずみずしいスイカを選ぶことで、さらにさっぱりとした軽やかさと季節感が加わる。モナカという和菓子を前菜に見立てたこのメニューは人気で、季節によって中身が変わるらしい。
和牛は世界で通用する素晴らしい食材
日本の巻き寿司をテーマにし、さまざまな食材を包んで提供
和牛とウニを包んだ手巻き寿司
世界に通用する食材、和牛のセレクションもこだわっている
和牛の旨味を最大限に引き出したステーキ
特注の龍泉刃物製ステーキナイフ
デザートは「とらや」のあずきを使用したかき氷
和を軸にした軽やかな前菜に続くのは、日本食を象徴する寿司。手巻き寿司の中身は、和牛とウニ。甘い醤油で味付けがしてあり、和牛とウニの旨味がお互いを引き立て合い、海苔が濃厚な味を上品にまとめている。グリル ガストロノミーレストランというだけあり、和牛のセレクションにもこだわっている。兵庫県但馬ブランドの太田牛のヒレ、とさのあかうしのサーロインのステーキは、それぞれの和牛の味わいを最大限に引き出すように調理されている。フレンチでステーキというとソースがたっぷりかかっているイメージだが、「ケイ・コレクション」ではシンプルなソースが添えられているだけ。極上の和牛の肉の旨味を直接味わうことができる。フレンチでありながらもシンプルな調理法で仕上げるステーキには、“和牛は世界で通用する素晴らしい食材”という小林シェフの思いが込められている。和牛にリスペクトするかのように、使用するステーキナイフも、福井県の龍泉刃物製だ。デザートは、「とらや(TORAYA)」のあずきを使用した抹茶かき氷。練乳のエスプーマ(ムース)を添えてアレンジを加えているが、ペロリと食べられる軽やかさはかき氷ならではだ。
「ケイ・コレクション」の料理一つ一つは、小林シェフの日本の食材と食文化への敬意と愛情が感じられるフレンチだ。日本とフランスの意外な素材、調理法の組み合わせが生み出す軽やかなフレンチは、新しく洗練されたガストロノミー体験を約束する。