J.フロント リテイリングは17日、通信販売大手の千趣会と資本業務提携を結んだ。約100億円を投じて千趣会の株式の22.62%を取得し、持分法適用会社にする。「ベルメゾン」などのカタログ通販で発展した千趣会は、現在では売上高の7割(約831億円)をeコマース事業が占める。オムニチャネル戦略を掲げるJ.フロントは千趣会をグループ化することで、eコマースのプラットフォームと運営ノウハウを手に入れる。アッパークラスや中高年に強いJ.フロントは大丸松坂屋百貨店とパルコで約600万人のカード顧客、30〜50代の主婦層に支持される千趣会は約400万人の年間購入者を持っている。互いに補完性が高く、効率的なシェア拡大と事業展開ができることも提携を促す要因になった。提携後は、両社のPB(プライベートブランド)商品の共同展開や商品原価低減、両社が補完し合える特定の商品についての相互販売などを進める。
J.フロントは2016年度にeコマースの売上高を250億円(14年度は156億円)に拡大する中期目標を発表している。17日夕方に会見したJ.フロントの山本良一・社長は「当社は『オムニチャネルリテーラー』の目標を掲げて、いくつも施策を講じてきたものの、まだまだ事業規模は小さい。自前のフルフィルメント(受注管理、商品仕分け・梱包、発送、決済処理などの通販の基盤)も脆弱だ。大きなビジネスにするため抜本的改革が必要と判断した」と話した。
流通業界では最大手のセブン&アイ・ホールディングスが13年に通販大手のニッセンを買収するなど、オムニチャネル戦略に基づく再編が続いている。