ファッション

スタートトゥデイの前澤社長とM&A先の光本ブラケット社長を直撃!

 ファッションeコマース最大手の「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが16日、2008年に設立した複数のITサービスを提供するベンチャー企業のブラケット(東京、光本勇介・社長)を買収した。2012年9月にスタートした、個人でも企業でも、場合によってはチェーンストアの1店舗であっても、簡単に安価にネットストアを作ることができるサービス「STORES.jp(ストアーズ・ドット・ジェーピー)」により、累計4万店のオンラインストアを開設したことで注目を集めている企業だ。"フリーミアム"(フリー=無料のサービスを幅広いユーザーに提供し、その中から高機能な特別有料サービスを受けられるプレミアム契約をしてもらうことで収益を得る)のビジネスモデルが特徴。今年度中には10万店を超えることが予想されるなど収益の拡大が期待されていることもあり、売上高1億1800万円(2012年9月期)に対して、買収価格は6億円という、まさにプレミアムなM&Aとなっている。今回の提携について、買収した前澤友作スタートトゥデイ社長と、傘下入りした光本勇介ブラケット社長を直撃した。
 

 
WWDジャパン(以下、WWD):買収したブラケットの魅力は?

 

前澤友作スタートトゥデイ社長(以下、前澤):「STORES.jp」のサービスとビジネスモデルに惹かれた。類似サービスがある中で、ダントツにセンスがいいし、スピード感もある。規模は小さいが、光本社長も優秀だし、まだまだ伸びると思う。グループとしてのシナジー効果も期待している。

光本勇介ブラケット社長(以下、光本):2012年9月に「STORES.jp」のサービスをスタートし、多くの方々に利用いただいているが、課題や強化ポイントが見えてきた。そのうちの一つが、集客の導線を作ることだった。せっかくオンラインストアを開店してもらっても、個々のオーナーでは集客や露出の方法がわからないという方が多かった。また、オンラインストア開設の需要が予想以上にあることがわかったが、今後は競合の参入も増えてくると思われる。そんな中で、先駆的プレーヤーとして可能な限りのスピードで成長したいと考えた。そこで、圧倒的なトラフィックや販売力、認知度、サービススケールのあるスタートトゥデイと組みたいと考えた。

 
WWD:2人の出会いは?

  
前澤:実は「STORES.jp」を立ち上げる前から光本社長とは付き合いがあった。すべてのサービスが斬新で、誰もやっていないことをセンス良くやっていると思って。2〜3年前、自分でサイトの問い合わせフォームから連絡を取り、会うことになった。

光本:最初はいたずらかと(笑)。

 
WWD:光本社長の経歴は?

 

光本:1980年生まれの32歳。外資系の広告代理店に新卒で入社し、テレビCMやウェブサイトの広告などを作成していた。5年間勤務した後、ネット関連会社のブラケットを起業。個人間のカーシェアリングや、オンライン上でウィメンズを中心としたシューズをカスタマイズする「Shoes of Prey」などを展開してきた。もともとネットが大好きで、ネットの可能性を感じていたので。今も休みの日は引きこもってずっとネットを見ている。

 
WWD:(笑)。では、スタートトゥデイにとってのシナジー効果とは?

 
前澤:これまで「ZOZOTOWN」では扱えなかった、小さなショップや個人や地方で頑張っているブランドや企業なども応援できるということ。「ZOZO」にいきなり出店するのでは出店費用も高いし体力がないというところも多い。まずは「STORES.jp」を使ってみて、軌道に乗ったら「ZOZO」に出店してもらいたい。逆に、「ZOZO」にすでに出店して商品は販売してはいるけれども、自社ECサイトがなかったブランドや企業がネット上に直営店を持つ機会を提供できると思う。また、8〜9月ごろに本格稼働する新サービス「WEAR(ウエア)」とも連携させていきたい。

 
WWD:将来のヴィジョンは?

 
光本:フェイスブックやツイッター、ブログなどの個人アカウントを持つ感覚で、1人が1つのオンラインストアを持つ世界を作りたいと本気で思っている。アパレルは日本で16万店あるといわれているが、1店舗が1つのオンラインストアを持ち、さらには、1人が1つのオンラインストアを持つ。将来的には、人口の数だけ、1億2000万のオンラインストアを作りたい。そうすれば、新しい経済圏ができると信じている。

 

 

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