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ロレアル24年上半期は売上高7.5%増で増収増益 「潜在顧客は約40億人」とCEO

ロレアル(L’OREAL)の2024年1〜6月期(上半期)決算は、売上高が前年同期比7.5%増の221億2000万ユーロ(約3兆4949億円)、営業利益が同8.0%増の45億9900万ユーロ(約7266億円)、純利益が同8.8%増の 36億5000万ユーロ(約5767億円)と増収増益だった。カテゴリー別の売上高では、ヘアケアが同14.9%増で35億ユーロ(約5530億円)、フレグランスが14%増で26億ユーロ(約4108億円)と大きく前進した。

全事業部プラス成長
けん引するのはダーマトロジカル ビューティ事業本部

事業部別では、プロフェッショナルプロダクツ事業本部が同4.9%増で売上高は24億2600万ユーロ(約3833億円)と堅調だった。「ケラスターゼ(KERASTASE)」や「ロレアル プロフェッショナル(L’OREAL PROFESSIONNEL)」の新商品発売が続き好調だった。中国を含む北アジアと、特にGCC(サウジアラビア、クウェート、パーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、オマーンの6カ国)、南米が市場を上回る業績を達成した。

コンシューマープロダクツ事業本部は同8.3%増で83億2200万ユーロ(約1兆3148億円)と力強い成長を示した。欧州とブラジル、メキシコ、インドの新興市場がけん引し、ヘアケアはプレミアム化が奏功した。最も顕著だったのは「ロレアル パリ(L’OREAL PARIS)」で、艶出しシャンプーが好調で2ケタ成長した。メイクアップは、「ロレアル パリ」のマスカラ、「ニックス プロフェッショナル メイクアップ(NYX PROFESSIONAL MAKEUP)」のリップグロス、「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」のチークなどの発売により、2ケタ成長を達成した。

リュクス事業本部は、同4.0%増で75億7800万ユーロ(約1兆1973億円)だった。欧州、北米や新興市場でも2ケタ成長を達成した。中国では市場全体の成長率がマイナスの中シェアを拡大し、北アジアのトラベルリテールは改善の兆しが見られた。「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT)」「プラダ ビューティ(PRADA BEAUTY)」「ヴァレンティノ ビューティ(VALENTINO BEAUTY)」といったブランドがけん引し、フレグランスカテゴリーは活況だった。全地域で市場を上回ったほか、メイクアップも回復を続ける。買収した「イソップ(AESOP)」は拡大計画を推進した。

ダーマトロジカル ビューティ事業本部は、同15.5%増で37億9300万ユーロ(約5992億円)と勢いを維持した。米国の景気減速にも関わらず、市場を大幅に上回る成長を遂げた。「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」は全地域で2ケタ成長し、同事業本部の成長率をけん引した。独自成分メラジルを配合したエイジングケア美容液“メラ B3 セラム”を成功要因に挙げる。

「ブランド価値と売り上げのバランスが良い」とCEO

ニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)は関係者に向け、好調な業績を強調し、「ロレアルはブランドの価値と売り上げのバランスがよく取れている」と話す。同社の売上増に貢献した上位3地域は、米国、メキシコに続き、ドイツ、オーストリア、スイスの3カ国からなるDACH地域だった。また、上半期では新興市場における事業規模が中国本土に匹敵したという。新興市場では特にオンラインチャネルが、オフラインの3倍の速さで成長した。

北アジアでは苦戦を強いられている。同地域の売り上げは既存店ベース同1.7%減で、2/3の売り上げを占める中国本土は「年初わずかに回復したものの、第2四半期にはマイナス成長に転じた。また消費者の購買意欲の回復も見られていない」と話す。免税店の多い海南島では売り上げが3割減じ、旅行客は徐々に増えているが為替の影響があった。一方日本では、インバウンドの好影響から10%中盤の成長率となった。今後も中国本土は若干のマイナス成長となるが、トラベルリテールと新興市場が好調となると見る。

「潜在顧客は約40億人」  新興市場に目を向ける

同社は新客の獲得にも専念する。潜在的な消費者を世界人口の半分にあたる約40億人と見積もり、「そのうち30%にしか接触していない」とイエロニムスCEOは説明する。現在の顧客は先進国では60%近く、新興国では25%程度、北アジアでは15%に満たない。今後10年で20億人の消費者にリーチしたい意向で、その鍵を握るのは新興市場となる。インドでは長年、プロフェッショナル向けとコンシューマー向け商品に特化してきたが、昨年同国で初めてダーマトロジカル ビューティブランドである「セラヴィ(CERAVE)」を発売した。中国でも「イソップ」や「プラダ ビューティ」の導入、地方都市への出店により市場シェアを拡大している。消費者の購買力と洗練度が高まる中欧、東欧にも目を向け、市場シェアがフランスの約半分であるポーランドでは、4〜5年で事業を倍増させる狙いだ。「我が社は、ビューティ業界における世界1位の企業だ。業界規模の拡大をけん引する」と語った。

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