ブラジルの化粧品会社ナチュラ&コー(NATURA & CO.以下、ナチュラ)は8月12日、同社が擁する「エイボン(AVON)」の非営業持株会社エイボン・プロダクツ(AVON PRODUCTS INC.)が米デラウェア州の裁判所に連邦破産法11条の適用を申請したことを発表した。同社の商品ががんを引き起こしたと主張する、タルク関連訴訟の債務の山積によるもの。
エイボン・プロダクツは2016年に北米事業を売却して以来、米国では商品を販売していないが、米国以外の事業体の持株会社であり続けている。現在「エイボン」の米国事業は韓国のLG生活健康(LG H&H)が手掛けており、今回の破産適用の対象には入っていない。またナチュラが販売権を持つ中南米事業を含む、米国以外の「エイボン」事業も今回の適用対象外だ。今回の適用申請は、タルク含有商品をめぐる数百件の人身傷害訴訟の弁護費用と和解金2億5000万ドル(約365億円)を含む、約13億ドル(約1898億円)の累積負債額の解消に向けたものとみられている。
ナチュラは投資家への通知の中で、裁判所の監督下にある競売手続きを通じて「エイボン」の米国外の事業を買収するために1億2500万ドル(約182億5000万円)の入札を行う予定だと述べた。ジョン・デュベル(John Dubel)=エイボン・プロダクツ会長は、「本日の措置と『エイボン』の米国外事業の売却案は、当社の資産価値を最大化し、秩序ある方法で債務に対処することを可能にする」と述べた。
アメリカでは「エイボン」のほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JOHNSON & JOHNSON)などがこれまでタルクを配合した商品を販売し、多くの訴訟が起きている。訴訟の多くはがん患者によるもので、使用しているタルクにアスベストが含まれ、それが卵巣がんの原因になっているなどと訴えている。